巳成金の日のお堂前は雨上がりにもかかわらず行列が
巳成金の日のお堂前は雨上がりにもかかわらず行列が

●「巳の日」は弁天さまの縁日

 日本では弁天さまはいつしか「巳(へび)」と習合し、「巳の日」は弁天さまの縁日とされるようになった。有名な弁天さまを祀る寺社の近隣は、巳の日渋滞が起こるとして知られているほどである。鎌倉の銭洗弁天(銭洗弁財天宇賀福神社)などは特に有名である。「巳成金」の行事は、弁天さまと深くつながるものとなったのである。日本へ渡来すると、神も仏も変化・進化しつづけ原型もとどめなくなっていくの典型が弁天さまと言えるかもしれない。

●9月の「巳の日」が巳成金に

 そんな「巳成金大祭」を不忍池辯天堂では9月の「巳の日」に行うとしている。わりと多くの弁天さまを祀る寺社では9月巳の日を祭日としているところが多いようだが、9月の「巳」と「成」の日に催行しているところ、9月の決まった日に決めているところなど様々である。不忍池辯天堂は特に9月に「己巳の日」がある年はその日と定めているが、毎年9月に「己巳」があるとは限らない。

●弁天さまに大黒さまが加わる弁天島

 それから、辯天堂そばには「大黒天堂」が建っている。不思議な話だが、この大黒さまは豊臣秀吉の念持仏だったという伝説が残っている。関東に秀吉由来の仏像が博物館以外で残っているものだろうか。私が参拝を始めた十数年前はお参りする人を見かけることも少なかったお堂だが、今ではちょっとした参拝の列ができているほどとなった。弁天さまと大黒さまと言えば、どちらも財と出世の神さまである。密かにどなたかの成功体験でも広まっているのだろうか、とちょっと疑っているほどだ。

 というわけで、今年の不忍池辯天堂の「巳成金大祭」は来週9月13日(火)である。毎年出向く私は知っているが、必ず1日のどこかで雨が降る。台風が直撃した年もあった。ところが幸いなことに、土砂降りだった年も傘はお堂の橋を渡る前までに不要になり、ある年は雨が止んだとたんに陽が射してくることもあった。きっと今年もどこかの時間に雨が降るだろう。やっぱり弁天さまは「水」の神であることを毎年強く感じることのできる「巳成金大祭」なのである。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)

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