それからは段々とハンセンも俺のことを気にかけて、お互い「あいつはやるなぁ」という雰囲気になっていったんだよね。そもそもハンセンはスポットで参戦していたレスラーで、俺は全日本プロレスから給料をもらっているレスラーという立場。それまでは交わることがなかったんだけど、あの事件がきっかけで打ち解けたような気がする。

トップレスラーのハンセンがファンの前で“たかが天龍”に恥をかかされて怒って、俺をボコボコにして、馬場さんにチクることなく試合を受けてさらに仕返しに耐え、それでやり合った俺を認めてくれたんじゃないかな。9月25日にハンセンとトークバトルをする予定だから、その話しも出るかな? 楽しみにしているよ。

 外国人レスラーでいえば、タイガー・ジェット・シンはいつも狂ったように怒って、前にも話したように、飛行機内でも馬場さんに向かってサーベルを振り回したりして、プロ意識なのか、本当に怒っているのかわからないヤツだったね。

 プロ意識でいえば、上田馬之助さんは相手が外国人であろうが日本人であろうが、ヒールとして戦っているという意識が強くて、居酒屋で飲んでいてもレスラーを見かけては喧嘩を吹っ掛けて、ガラスのコップをガリガリかじってみせたり、そんなことばかりやっていたね。それを見て俺も「馬之助さんにできて、俺にできないはずがない」とコップをかじってみたけど、意外とイケたんだ! 翌日に便に交じってチャリンチャリンって出てきて音がしたよ(笑)。

 そうやって馬之助さんはリングを降りてもそのスタンスを崩さず、職業としてヒールをまっとうしたんだから立派だよね。たしか秋田だったはずだけど、馬之助さんと一騎打ちの試合で、俺の攻撃で向こうがヘトヘトになったとき「やった!」と思ったもんだ。

馬場さんやアントニオ猪木さんたちトップレスラーと戦っている馬之助さんとそういう試合ができたことで、俺は大きな自信を持つことができたんだ。ん!? そういえばハンセンがブチギレたのも、俺の引退試合の両国国技館の前、最後の地方での試合も秋田のボロい体育館だったな。何か秋田には縁があるのかな?(笑)

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