関東で旧チームから多くメンバーが残るのが横浜だ。エースの杉山遙希、ショートで1番の緒方漣は1年夏から2年連続で甲子園に出場しており、経験は申し分ない。春先には将来が期待されていた一部の下級生部員が退部する騒動もあったが、そこからしっかり立て直して夏の神奈川大会を勝ち抜いてきたのは見事である。旧チームは守備、走塁など細かいプレーは目立ったものの、打撃面では全国レベルの投手を相手には苦しい印象だっただけに、どこまで打力をアップできるかが大きなポイントになりそうだ。
甲子園から遠ざかっているチームで楽しみなのが享栄(愛知)と帝京(東東京)だ。享栄は最速149キロを誇るサウスポーの東松快征がプロ注目の存在で、新チームでも大黒柱として活躍している。野手も夏の愛知大会を経験している選手が多く、2000年春以来となる甲子園出場も十分期待できそうだ。
一方の帝京も2011年夏以来甲子園から遠ざかっているが、2年生の高橋蒼人と1年生の西崎桔平と本格派右腕2人が揃い、投手力は近年でも最も力がある印象を受ける。野手陣をしっかり底上げすることができれば、“東の横綱”復活も十分に期待できるだろう。
高校生の場合、短期間で一気に力をつけることが多く、ここで挙げた以外にも楽しみなチームは少なくない。11月にはセンバツの前哨戦となる明治神宮大会が行われ、その出場をかけた地区大会も10月には全国各地で行われるだけに“秋の高校野球”にもぜひ注目してもらいたい。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。