では、日本は?というと41位の2.83ドル(390円)。モルドバ、ベトナム、アゼルバイジャン、フィリピンと並ぶレベルで、先進国のなかでは断トツの最安値である。

 最近、値上げが気になる東京ディズニーランドの入園料も、実は世界最安レベルである。

 最低料金を比較すると、米国カリフォルニア州の本家ディズニーランドは104ドル(1万4830円、1ドル=142.6円)。上海ディズニーランドは435元(8956円、1元=20.59円)。東京ディズニーランドは7900円である。

 ここ20年で先進国の物価は約1.5倍になった一方で、日本ではほぼ横ばい状態が続いてきた。さらに最近は円安の影響も重なり、外国人にとって日本の物価はかなり割安になっている。

「爆買い」は起きているのか

 経済産業省の調査によると、円安傾向が強まると高価格の免税商品が売れる傾向がある。15年の円安のときには多くの外国人観光客が家電製品を買い求め、「爆買い」と呼ばれた。

 いま、爆買いは起きているのか?

 外国人に人気の街、東京・秋葉原に巨艦店をかまえるヨドバシカメラに尋ねると「訪日観光を再開してから3カ月たちますが、目に見えるような動きはないですよ」と苦笑する。

爆買いが始まったという報道も一部にあるが?

「うーん、外国人客が大きく増えたという話は正直、あまり聞きません」

 訪日需要の取り込みに力を入れている三越伊勢丹ホールディングスはどうだろうか。

「訪日されたお客様の数や売り上げが大きく跳ね上がったわけではございませんが、一定の伸びは見られました」

 実数は明かせないが、都内3店舗(伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、銀座三越)の免税売上高および免税買い上げ客数を示したグラフの線は明らかに上昇している。

「時計や宝飾品、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドのハンドバッグといったアイテムが好調に売れています。観光客の受け入れが再開されたとはいえ、まだまだビジネスで来日されている方の割合が高く、経済的にも余裕のある方が高額品を買い求められていると認識しております」(三越伊勢丹ホールディングス)

不動産はキャッシュで

 さらに円安のメリットが大きい不動産はどうだろうか?

「お客様の問い合わせ数は増加傾向にあります」と、外国人向け不動産仲介を行う三井不動産リアルティの担当者は話す。

「昨年度の第2四半期、第3四半期は横ばいだったのですが、急激に円安になってきた第4四半期から伸び始め、それからは右肩上がりの傾向です」(三井不動産リアルティ)

 台湾からの問い合わせが多く、物件の多くはマンションの専有部分だという。

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