■身体機能が衰えても自宅は安全な場所?

 いまはパートナーがいるから、いまはまだ動くのに不自由はないから、自分でなんでもできるから、と思っていても、いずれは一人暮らしになり、さらに年とともに身体機能は確実に低下していきます。

 自宅は老いていく自分にとって、安全な場所でしょうか。これから先、20年、30年と住み続けられるでしょうか。自分らしい生活を送るためにも、元気なうちにぜひ、わが家を見直してみましょう。

週刊朝日ムック『早めの住み替えを考える高齢者ホーム2023』
週刊朝日ムック『早めの住み替えを考える高齢者ホーム2023』

■「管理が大変」「病院が遠い」自宅が不便になるとき

 多くの人は加齢に伴って、慣れ親しんだわが家に、若いころには感じなかった不満や不安を抱いています。老いの工学研究所が高齢者を対象におこなったアンケート結果では、多くが現在の住まいに不満・不安を感じており、なかでも「管理が大変」は最も多く、6割近くに上りました。

週刊朝日ムック『早めの住み替えを考える高齢者ホーム2023』より
週刊朝日ムック『早めの住み替えを考える高齢者ホーム2023』より

 家族で住んでいた自宅は高齢者1人あるいは2人で住むには広すぎて、「もう何年も2階に上がっていない」「日常的に使っているのは2部屋だけ」などの声はよく聞かれます。また庭は、近隣に迷惑をかけないために定期的な剪定や雑草対策が必要とわかっていても、放りっぱなしになることも。さらに広すぎる自宅は、防犯面での不安も募ります。

 家の中の造作(階段や段差など)のほかには、周辺の住環境への懸念が挙げられています。たとえばこれまでは平気だった駅から10分の距離が遠く感じられること、重い荷物を持って坂道を上るのがつらくなったこと、また、運転免許返納によって通院や買い物の交通手段がなくなったことなどがあるようです。

 老いの工学研究所理事長の川口雅裕さんはこう話します。

「老いによるからだや気力の衰えに伴って『できないこと』『したくないこと』が増えてきた結果、快適だった自宅や周辺の環境が、不便なものに変わってしまったのです」

■住み替えで健康寿命を延ばす

 さらに、多くの人が最も不安に感じるのは、緊急時のことでしょう。高齢者だけの世帯で、ケガをしたり倒れてしまったりしたときに、救急車を呼ぶなどの対応が迅速にできるでしょうか。一人暮らしならなおさら、倒れていてもすぐには見つけてもらえないかもしれません。

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子どもは心配を常に抱いて生活