子宮内膜症データ
子宮内膜症データ

 子宮内膜症には主に三つのタイプがある。腹部の臓器を覆う腹膜にできる腹膜病変、卵巣内部にドロドロのチョコレートのような古い月経血と内膜がたまるチョコレート嚢胞(子宮内膜症性嚢胞)、進行により子宮と直腸の間のダグラス窩に癒着や硬結ができる深部病変だ。

 腹膜病変は、数ミリの透明、赤色、青黒色の病変が散らばった状態で、青黒色の病変はブルーベリースポットと呼ばれる。チョコレート嚢胞は月経時以外にも下腹部に痛みが出たり、破裂や感染で激しい痛みを起こすことも。また、卵巣がんの発症率が0・7%と言われている。

 不妊治療の受診がきっかけで発見されることも多く、不妊症の患者の3~4割に子宮内膜症が見つかる。子宮内膜症が不妊の原因になるのは、卵管や卵巣が癒着し、卵子が卵巣から子宮まで到達しにくくなったり、炎症で生理活性物質が分泌され、排卵、受精、着床が阻害されるためだという。妊娠すると月経が止まり、子宮内膜症が改善することもあるため、不妊治療は成功すれば子宮内膜症の治療にもなる。

 治療は子宮内膜症の病態や患者個々の背景などを考慮して、薬物療法や手術が選択される。

「患者さんの要望にいかに応えられる治療をするかが大切。特に子宮内膜症の治療と不妊治療は基本的に両立できないので、それぞれの治療のタイミングも考えます」(甲賀医師)

 子宮内膜症は月経のたびに痛みが表れ、QOL(生活の質)が著しく低下する。しかし月経痛は月経のある女性の半数にみられるため、「痛みがあって当然」と考えがちだ。「たかが生理痛」と周囲からも理解されず、日常生活や仕事に支障をきたし、社会的、経済的につらい思いをしている人も多い。なかには抑うつ症状が強くなり、精神的な要因で不調を感じたり、月経時以外にも痛みが生じる人もいる。

■早期発見での対処を 病診連携も重要

 順天堂大学順天堂医院産科・婦人科教授の北出真理医師はこう話す。

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ただの月経痛だと我慢しないこと