「大切なことは、ただの月経痛だと我慢しないこと。日本人は我慢することが美徳とされていたり、経験者である母親からも月経痛はあって当たり前と教えられる人も多いと思います。しかし痛みは病気のサインであることが多く、早期に発見・対処できれば、予防したり進行を遅らせることも可能です。また治療することで日常生活が送りやすくなるので、我慢する必要はありません。特に市販の鎮痛剤が無効の痛みがある場合はすぐに近くの婦人科を受診してください」
子宮内膜症は月経が繰り返されることで悪化するため、閉経前には再発も多く、治療後の経過観察はもちろん、患者のライフステージに合わせた長期の治療方針を立てることが大切だという。
「どんな症状があるのかだけではなく、妊娠を現在希望しているのか、将来希望するのか、今後も望まないかなど、患者さんの現状や将来計画をよく聞いて治療することが重要です」(北出医師)
女性の思春期から性成熟期、閉経までの数十年単位で診療を継続するためには、かかりつけ医をつくることも重要だ。
「手術は大学病院などの大きな病院、定期受診は信頼できる地域の開業医と総合病院などが連携し、計画的に治療することが大切です。私たちは昨年から、受診ごとの診療情報をかかりつけ医と相互共有するハイブリッド診療を開始しました」(同)
子宮内膜症などの慢性疾患は、日常的な診察は地域のクリニック、手術などは大きな病院でおこない、閉経を迎えるまで長期にわたる経過観察が必要だ。
(文・伊波達也)
※週刊朝日2022年9月23-30日号より