スタジオ内のミキサー、通称「卓」。CDや音素材やマイクなど、それぞれの音素材の音量を調整するもので、副調整室にいる専門のエンジニアさんがこの卓の前に座って、放送中、逐一調整してくれます(写真:著者提供)
スタジオ内のミキサー、通称「卓」。CDや音素材やマイクなど、それぞれの音素材の音量を調整するもので、副調整室にいる専門のエンジニアさんがこの卓の前に座って、放送中、逐一調整してくれます(写真:著者提供)

 そういうときは、食い下がったり意固地になったりせず、「そうですか~?」とニコニコしながら、やさしく包み込むような気持ちでその反応をまずは受け止めます。せっかくほめたのに……と慌ててシュンと引っ込めると、それこそお世辞に聞こえてしまうので、悠然と。

 相手が照れたり、ちょっとぶっきらぼうになったり、ひたすら恐縮したりと、何かしら反応しているのは、こちらの言葉が届いた証拠と解釈して、アタフタしません。

■「補足ぼめ」や「時間差ぼめ」でほめバリエーションを増やす

 もし、相手が「いやいや、本当にほめられる意味がわからないんだけど……」という様子なら、もう少し細かいところを説明してみます。

 ラジオのインタビューでも、こういったことはたまに発生します。そのときは、相手が気づいていないであろう角度からさらに細かい感想や情報を付け加えていきます。

 例えばこんなふうに。

ゲスト:これといった趣味はないんですけど、休日は、銭湯巡りをしてるんですよ。
私:わぁ、素敵ですねえ。
ゲスト:いやー、地味ですよ……。
私:そんなことないですよ。海外のガイドブックに載るほど、日本独自の文化ですし。サウナだって流行ってるじゃないですか。銭湯で音楽イベントや映画イベントをやっていたり、おしゃれなリノベ(リノベーション)銭湯も増えてるみたいですし。

「いいね!」と思った理由を、主観と客観をまぜて補足していくと、相手も「そうなのかな、素直にほめられちゃっていいのかな」と安心して、さらに話を深めてくれたり。

 ただ、こちらが畳みかけるように重ねると、焦ってフォローしている印象になりますので、ここは慌てず自分のいつものペースで。

 最初に顔を合わせたとき、とっさに言葉が出なくて、ほめるタイミングを逸してしまっても大丈夫。17節で「好意は先出し」とお話ししましたが、実際は「先出ししたかったけど、タイミングがつかめずにできなかった!」という事態もよく起きます。

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会話がふと途切れたときや別れ際に「時差ぼめ」してみる