地方公務や式典や国体への出席――。コロナ禍でオンライン中心の公務活動だったが、秋にかけて外出を伴う公務が増え、顔の見える皇室が戻ってきた。来年からSNSの活用も「検討」され期待が高まる。しかし、皇室に関する政府の有識者会議でも「皇室のSNSの活用」を訴えてきた君塚直隆関東学院大学教授は、「このままではみじめなSNSで終わるのでは」と懸念をしめし、「いまのホームページをさっさとやめるべき」と語気を強める。
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10月22日には、国民文化祭への出席のため、両陛下が即位後初めて沖縄を訪問する。秋篠宮家も、10月1日には長男の悠仁さまが初めてひとりで三重県の伊勢神宮に参拝、3日からは来日中のブータンの王女と息子の王子家族を秋篠宮ご一家が宮邸に招くなどもてなした。9日には、佳子さま単独でのスポーツ試合を観戦する公務もある。
顔の見える皇室が戻ってきた印象だ。
さらに宮内庁はSNSを活用した情報発信を視野に広報活動の改善を計っている。
2023年度の概算要求に、SNSなどを担当する参事官ポストの新設と新たに2人のスタッフの増員を組み込んだ。
元宮内庁職員の山下晋司さんは、こう話す。
「まだ何も具体的なことは決まっていないようですが、眞子さんの結婚問題ではSNSを中心にバッシング騒動が起こりました。誤解や事実と異なる点があっても皇室側や宮内庁が考えや見解を発信するのは、お誕生日の記者会見や幹部の定例会見など、限られた場だけというのが現状です。事実と異なる記事が報道された場合は、宮内庁のホームページに訂正や抗議を載せていますが、掲載の線引きが難しい。かつ、普段から宮内庁のホームページをチェックしている人はごく一握りです。皇室や宮内庁は、正しい情報や伝えたいことを国民にしっかりと伝えるための有効な術をいまも持っていないと言えます」
眞子さんの結婚問題においては、皇室側の情報や考えを十分に伝えるための仕組みが整っていないことも、国民とのすれ違いを拡大させる原因となった。