「宮内庁ホームページも年を追うごとに内容は充実してきています。しかし、基本的な姿勢は紙で発行していた『宮内庁要覧』から脱却できていないと感じます。仮にツイッター等で発信することになっても、『どこそこの式典に出席しました』、といったような内容だけだと、ほとんどの人は関心を示さないでしょうね」(略)

有識者会議でSNSの重要性を訴えるも

 また、宮内庁と皇室は一刻も早くSNSを活用した広報戦略に舵を切るべきだと、主張を続けているのが、関東学院大学国際文化学部の君塚直隆教授だ。

 海外王室と皇室の専門家として、21年5月には、内閣府が主催する「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に有識者として意見を述べた。その際、皇室の存続のためには、SNSの活用が不可避だと意見を述べている。

 有識者会議のメンバーと政府側の反応はどうだったのだろうか。

「無言でしたね。質問もなし。議論の主眼は、『安定的な皇位継承』であるということかもしれませんが、とにかく政府も宮内庁も反応が悪いというか腰が重い」

 君塚教授は有識者会議の場で、皇族の数の減少が及ぼす危機と国民の関心が皇室から離れつつある現状を説明した。そして国民の関心が薄れつつある原因について、こう説明した。

「こうやって先生方あるいは事務局の皆様方が一生懸命こういう会議を開いていても、国民の間では余り関心がない。薄い。それはなぜかといったら、圧倒的に広報が足りない。今、ご存じのとおり、宮内庁のホームページはある。ただ、国民が見たいのは役所のホームページではない。皇室のホームページを見たいのだ」

「興味を惹かない」ホームページとは

 英国王室がダイアナ元妃の死をきっかけに、国民の不信を招いたこと、そして、国民の理解と信頼を得る手段として他の王室に先駆けて97年にロイヤルファミリーのホームぺージを開設したこと。いまやツイッターやフェイスブック、インスタグラムを、ウィリアム王子とキャサリン妃など家族単位で発信するのが当たり前になった。

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皇族がそれぞれに個人発信しなければ意味なし