弓矢や鉄砲は、敵との距離が離れている場合に有効な攻撃方法だった。敵との距離が接近した場合には、槍での戦いとなる。これを槍合わせという。
槍は、柄が2mから6mほどのものまであるが、短い柄の槍を使いこなすには習得に時間がかかった。そのため、足軽が集団で用いたのは、長い柄の槍で、これを長槍とよぶ。集団行動のなかで用いるため、当然ながら、左右に薙ぎ払うことはできない。足軽の長槍は、正面に構えて用いるものだった。足軽は一列に並び、槍を隙間もないくらいに突きだして構える。こうすることで、敵の進軍を阻んだのである。これを「槍衾」とよぶ。「槍衾」に突入することは、ほぼ不可能である。両軍の足軽が衝突した場合には、槍を上から振り下ろして敵の頭を叩くなどの攻撃をし、戦闘は乱戦になっていく。
※週刊朝日ムック『歴史道別冊SPECIAL 戦国最強家臣団の真実』から