つらいことをガマンしないで、自分のからだのこと、少し考えてみませんか? ※イラストはイメージです (c)GettyImages
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 中学生、高校生のみなさんは便秘のとき、どのように対処していますか? 恥ずかしいから……便秘ぐらいで……と我慢したり、薬局で買った刺激性の下剤をひんぱんに飲んだりしていないでしょうか。高校生に行ったアンケートでは、便秘傾向のある人の9割弱が「勉強に集中できない」と回答しているといいます。がんばった勉強の成果を効率的に発揮させるためにも、便秘は早めに、そして正しく治すのが得策です。小児の便秘治療の専門家が、正しい理解と対処法についてアドバイスします。

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 どんな状態だと便秘と診断されるのか、知っていますか? 便秘の定義には「排便回数が少ない(週に3回未満)」というのもありますが、「毎日出ていても、便が出にくい。出してもすっきりしない」というのも便秘に含まれます。

■高校生の約半数は「便秘の可能性あり」

 便秘の専門家で、さいたま市立病院小児外科非常勤・元部長の中野美和子医師によると、便秘の治療でクリニックや病院を受診する人のうち、中高生の割合は少ないことがわかっています。

「思春期になると大人のからだに近づくため、軽い便秘であれば、自然によくなります。また、子どものころからの便秘体質も成長とともに改善することが多いですが、便秘の程度が強い場合、この時期でも治りにくいことは確かです」

 全国の高校生の男女1000人に行った調査では、高校生の便秘は20.2%で、ここに便秘予備軍(27.0%)を合わせると、なんと約半数(47.2%)が「便秘の可能性あり」という結果でした(日本トイレ研究所調べ)。中野医師は、中学生の便秘についてもこう話します。

「あくまでも推測ですが、中学生も高校生と同じくらいの割合で便秘に悩んでいると思います。知り合いの養護教員からも『腹痛や便秘の症状で保健室に来る子がとても多い』という話をよく聞くのです」

■学校や勉強のストレスが便秘の引き金に

 新学期など環境が変わったことでの緊張、そして試験や受験のストレスが、便秘の引き金になることもあります。先ほど紹介したトイレ研究所の調査では、便秘または便秘予備軍の高校生の9割弱が「勉強に集中できていない」と実感していて、その割合が便秘でない高校生よりも高いこともわかっています。便秘だと勉強に集中しづらく、試験へのプレッシャーが強くなってしまう……悪循環ですね。

 便秘は、ただおなかが苦しいだけでなく、「QOL(生活の質)」を含め、多くのことに影響している可能性があります。便秘は、実は治療が必要な「病気」です。治すための「正しい知識」をぜひ身につけてください。

■便秘の原因は人によって異なります

 まず、便秘の原因についてです。中野医師によると、思春期になると女子生徒は女性ホルモンの影響で、便秘が起こりやすくなるといいます。

「月経(生理)の前に分泌される黄体ホルモンは腸の働きを鈍くします。このため、月経の前に便秘になったり、便秘が悪化したりすることがあります。また、ダイエットが引き金になっていることもあります。食べる量が減れば便の量が減ってしまいますし、食事をすることによる腸への刺激も減るので、出にくくなります」

 極端なダイエットはホルモンバランスが乱れる原因にも。月経の周期が乱れ、過多月経や無月経になることもあり、将来の骨粗しょう症のリスクが高まります。無理なダイエットはとても危険です。

 一方、男子生徒は思春期になると便秘がよくなるケースが多いそう。男性ホルモンの影響で食欲旺盛になり、運動量が活発になるため、排便しやすいからだになるからです。ただ、便秘がよくならない人もいるので、慢性的に便秘が続いているなら治療が必要です。

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すぐできる便秘の改善法と注意点