相手から言葉のボールをもらったら、相手のリズムに合わせて返す。
まずは「あなたの話を聞いていますよ」「楽しんでいますよ」という合図として、軽やかに返す一言にも大きな意味があるのです。
私自身、「常にベストな言葉を選ばなきゃ」という気持ちをいったん手放したら、とてもラクになりました。
「へえ! すごいですね」「それ、おもしろいですね!」「そんなことがあったんですか!」「わあ、うれしいです」など、まずは、そのときの気持ちや感想をストレートに表現してみる。
実は、この一言があるかないかで、話し手の安心感や話しやすさに大きな差が生まれます。
これは、ラジオに対するSNSでの反応と似ている気がします。
最近では、ラジオ番組を聞きながら、リアルタイムで感想をつぶやいていくという楽しみ方がすっかり定着しました。オンエアでの私の言動に即ツッコミが入ると、「番組を楽しんでくれているな」「こんなふうに感じているんだ」とリスナーの反応がわかって、それに対してまたコメントがついて、と番組を軸につながりが生まれている感覚になります。
すると、こちらも話す言葉、発想がどんどん広がっていく。すぐ反応してもらえるということは、想像以上にパワーをもらえるんですよね。
■「ねえ、それって、どんな感じ?」
とはいえ、焦るほど言葉は出てこないもの。
大丈夫です。言葉の反射神経はちょっとしたゲーム感覚で、誰でも磨くことができます。
私の場合は、もはやクセになっていますが、日常的に、今日の体調や気分、出勤途中に見たもの、感じたことなどを「◯◯な感じ」と言葉に当てはめるようにしています。
「この状態は?」「この気持ちは?」と自分に聞いてみる。そして、連想を広げていきます。
例えば、春の朝。駅のホームで風が吹いてきたら……。
<さわやかな春風だな、気持ちいいな。明るい気分になる>
そして、次にこんな連想へと続けます。
<この気持ちよさは、よく寝たあとのようなスッキリした感覚? それとも一目惚れした服を買って帰るときのウキウキした感じ?>
反対に重苦しい気分のときは、
<一夜漬けの勉強中に眠ってしまって迎えた、試験当日の気持ち>
息が詰まりそうなときには、
<梅雨時の満員エレベーターに乗っているみたい>
なんて表現もできますね。