昨年12月に現役復帰した馬淵優佳
昨年12月に現役復帰した馬淵優佳
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 昨年12月、現役復帰を果たした馬淵優佳(ミキハウス)。復帰から約9カ月後の8月5~7日、栃木県の日環アリーナ栃木で女子1m飛板飛込で7年ぶりの優勝を果たし世間を驚かせた。五輪種目でもある女子3m飛板飛込では、予選を3位で通過。決勝でも約4年のブランクを感じさせない安定した演技を見せ、表彰台には届かなかったものの4位入賞を果たした。

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 さらに1カ月後、同じ会場で行われたとちぎ国体の成年女子3m飛板飛込では、FINA世界選手権代表の三上紗也可(日本体育大学)、榎本遼香(栃木県スポーツ協会)らに次ぐ5位となった。

 復帰後、五輪種目である3m飛板飛込で上位に入った馬淵にとってもひとつ手応えを感じるところであっただろう。「今までやってきたことを認めてあげたい」と笑顔を見せた。その一方で、「世界を見ると、今の演技ではまだまだなところがある。空中の美しさも全然違うので、またこれから1種目ごとのクオリティを上げてきたい」と課題を口にした。

 馬淵自身が感じている通り、確かに日本国内では上位に入ることが可能なレベルに復帰できたものの、これから来年に福岡で開催されるFINA世界選手権やパリ五輪への出場、そして決勝で戦うことを考えると、まだまだ足りないことが多い。あらためて、冷静に何が必要なのかを考えてみると、2つの課題が浮かび上がってくる。

 ひとつは、馬淵本人が口にした通り、空中の演技の美しさだ。飛込競技で注目されるポイントと言えば、入水だ。水しぶきを上げない、いわゆる『ノースプラッシュ』や『リップクリーンエントリー』と言われる技術である。当然演技の完遂度を評価される競技であるため、入水も大事なポイントなのだが、空中姿勢の美しさが、安定して高得点を出すための必須条件でもある。

 例を挙げると、回転中はつま先が真っすぐ伸びている状態が理想である。これがつま先が上がった状態(足首が90度に曲がっている状態)は減点対象になり、0.5点から1点ほど点数が下がってしまう。また、ひねり技のときには脚がずれてしまう(脚が交差した状態ができる)と、こちらも減点。入水も、水しぶきが上がらないことは大事だが、入水する直前の姿勢も非常に重要で、いかに水面に対して垂直な姿勢を取れるかどうかが高得点を得るためのポイントになる。

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馬淵の“課題”とは…