政府は英ISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルに14年「一般NISA」をスタートした。その後16年に20歳未満向けの「ジュニアNISA」が、18年には「つみたてNISA」が始まった。

「一般NISA」は、株や投資信託などを年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できる。「つみたてNISA」で購入できるのは投資信託とETF(上場投資信託)で、年間非課税限度額は40万円、非課税保有期間は20年間。

 金融庁が提出した要望は複雑化したNISAの仕組みを「簡素でわかりやすく、使い勝手のよい制度に」することがポイントで、「つみたてNISAを基本としつつ、一般NISAの機能を引き継ぐ」という。

 現在、一般NISAの投資可能期間は28年まで。つみたてNISAは42年まで。これを恒久化するとともに、非課税保有期間の無期限化を目指す。

 年間投資枠と年間非課税限度額の拡大も柱だ。日本証券業協会はISAの年間非課税限度額(2万ポンド=約320万円/1ポンド160円の場合)に近い、300万円の拡大案を提示する。

 現状のNISAについて毛呂さんは「初心者の方が資産運用を始めるにはいい制度だと思います。これを使わないのはもったいないと思いますね」と、評価したうえで、今後さらに使い勝手がよくなることを期待する。

 日本証券業協会によると、18年以降に証券投資を始めた人の約6割はNISAがきっかけだった。 

得をしたのは投資信託

 一方、金融庁と日本証券業協会の調査によると、いまも日本人の約8割は投資未経験者だ。元本保証のない金融商品に手を出して損をする――そんなイメージを投資に対して持つ人は少なくない。

 それに対して毛呂さんは「ファイナンシャルプランナーとして、誰がやっても失敗しにくい方法を勧めないといけないわけです」。

 そのお勧めの方法は、ごくシンプル。「毎月定額の積み立てで投資信託を購入」すること。ただ、それだけだ。

「いろいろな商品を購入して、結局、得をしたのは投資信託だった、という話なんです」

 毛呂さんは14年から一般NISAを利用して、さまざまな種類の投資信託を購入してきた。それを「一度も売却したことはありません」。つまり、「長く持つ」がポイントであると言うのだ(非課税期間終了後も保有を続けるロールオーバー制度については話が複雑になるので、ここでは触れない)。

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