作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、盛り上がりを見せている「フェムテック」について。
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先日、東京ビッグサイトで第1回「フェムテック トーキョー」が3日間にわたって開催された。国内外の約200社が集い、野田聖子議員の基調講演やホリエモンさんのフェムテック講座も行われた巨大な会場には1万4000人以上が集まるなど、大変なにぎわいだった。生理用品や骨盤底筋を鍛えるグッズなどを販売する私の会社も出展したのだけれど、ブースの中は身動きが取れないほどの人であふれ、最新の生理用品や尿漏れ防止グッズの説明を求める人の列ができ、交わした名刺は数えきれず、大変な盛況ぶりだった。会場にきてくれた友人に「あんなに働く北原さん、初めて見た」と笑われたが、彼女に見られていたのも気づかないほどの忙しい3日間だった。私の会社だけでなく、それは全ての参加者の実感だろう。
それにしてもフェムテック、いったいなぜ、こんなに盛り上がっているのだろう。
フェムテックとは、生理管理アプリを開発したヨーロッパの女性起業家が2016年に提唱した言葉で、Female(女性)+Technology(技術)の造語だ。生物学的女性の困りごとをテクノロジーで解決していく商品やサービスを示す。この言葉が生まれた背景には、工学部出身の女性技術者が増えたこと、組織内で決定権を持つ女性が増えたこと、国際的な#MeTooによるフェミニズムムーブメントなどがある。
また、これまでの医療は「男性の体」=「人間の体」として発展してきた。生物学的な性差は無視され、女性の体は医療やテクノロジーの分野では考慮されずにきた歴史が長い。医療に限らず、社会全体が「男性仕様」につくられてきた現実もある。そういう社会で、女性を主体にしたサービスやプロダクツの発展はきっとジェンダー平等社会に貢献するはずだ……という思いで、私はフェムテックに強い期待をしているのだが、それにしても、日本、ちょっと盛り上がりすぎてはないか。