あまりにかゆみが強いと、死にたい気持ちになる場合もあります。かゆみとはそれくらい耐え難く、思いつめてしまう人がいることは想像に難くないでしょう。研究でもかゆみと希死念慮(死んでしまいたい気持ち)の関係が報告されています。
もちろん、皮膚の炎症によるかゆみもあります。かゆみの原因のすべてが気持ちの問題ではありません。アトピーなど皮膚の炎症によるかゆみは、原因のたんぱく質がわかってきました。主にインターロイキン31というたんぱく質が担当しています。このインターロイキン31をブロックする薬が2022年8月から保険承認され、病院で使用可能となっています。
ストレスと皮膚症状の関係は多く知られていますが、今回はかゆみに着目して解説しました。誰かの行動に釣られて脳がかゆみと判断してしまう現象は、そういうことがあるんだと認識するだけでかゆみは減少します。また、皮膚の炎症によるかゆみは新薬を使って治療することが可能です。心因性なのかそうでないかで、治療が変わってくるのです。
文献 J Eur Acad Dermatol Venereol 2008; 22: 1062-1069.