コロナ第7波では感染力が強いオミクロン株が主体となり、感染者数がそれまでとは桁違いに多くなったこともあって、療養期間が終わってウイルスが検出されなくなった後もさまざまな症状が続くコロナ後遺症を訴える人が急増している。そんな中、コロナ後遺症の治療法として、慢性上咽頭炎の治療法であるEAT(イート、上咽頭擦過療法:Epipharyngeal Abrasive Therapy) が注目されている。どのような治療なのか取材した。
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■コロナ後遺症の症状
コロナ後遺症では、長引く咳(せき)や微熱、頭痛、味覚障害、集中力の低下(ブレインフォグ)や記憶障害、全身の痛み、倦怠感など、人によってさまざまな症状が出ると言われている。症状が重い場合には仕事が続けられなくなったり、ほとんど寝たきり状態で家族の介護を受けるような厳しいケースも見られ、アメリカやイギリスなどではコロナ後遺症によって経済的な損失が生じているという報道もされている。
コロナ後遺症の症状は、大まかに(1)全身症状、(2)呼吸器症状、(3)精神・神経症状、(4)その他の症状という四つに分けることができる。
堀田 修クリニック院長で日本病巣疾患研究会理事長の堀田修医師によれば、このほかにも頻脈や生理の乱れ、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群など、さまざまな症状が見られるという。
「コロナに感染すると、上咽頭にある免疫細胞がウイルスに対して戦闘状態になるため、炎症やうっ血が起きます(急性の上咽頭炎)。ウイルスが退治されれば炎症も治まるのですが、何らかの理由で炎症が残ってしまうことがあります(慢性の上咽頭炎)。上咽頭の炎症やうっ血が続くことで、さまざまな症状を引き起こすのです。これがコロナ後遺症の大きな要因の一つだと考えています」