「長期間安全に使用できて、かつ骨折予防効果が高い薬は、60代女性ならSERM(サーム、選択的エストロゲン受容体モジュレーター)です。女性ホルモンと似た作用で骨が減るのを抑えます。同条件で60代男性ならカルシウム吸収を助けるビタミンD作用と骨の吸収抑制作用もある活性型ビタミンD3薬が有用です」(竹内医師)
骨密度が極端に低い、椎体の複数箇所骨折、大腿骨近位部骨折後など、二次骨折リスクが非常に高いケースでは、骨の形成促進作用が高いテリパラチドやロモソズマブが選択される。
「ただし、テリパラチドは生涯で2年まで、ロモソズマブも一度に1年までしか使えません。その間にできるだけ骨の量を増やし、治療後は速やかにビスホスホネートやデノスマブなどの骨の吸収抑制薬に切り替えて治療を継続していくことが必要です」(同)
ビスホスホネートは週1回や月1回などさまざまな服用頻度の内服薬が登場している。胃腸障害などで内服が難しければ年1回の注射薬もある。いずれも効き目や副作用は変わらない。
デノスマブは6カ月に1度の注射薬で、骨密度を高めて骨折を予防する効果はビスホスホネート以上とされるが、途中で治療をやめるとリバウンドも大きいため、必ず継続できる人向けだ。
「歯科での抜歯やインプラント治療では、骨吸収を抑える骨粗鬆症薬を使用中には顎の骨の骨髄が化膿することがあるため、それらの治療を先に済ませてもらってから投薬を始めます。薬は身体状況や利便性、ライフスタイルなども考慮して、医師とよく相談して選択してください」(同)
(文・石川美香子)
※週刊朝日2022年11月4日号より