セ・リーグ最下位に沈んだ中日では田島慎二が苦しい立場となっている。プロ入り1年目から6年連続で40試合に登板し、一時は抑えも務めるなど活躍を見せたが、2018年以降は大きく低迷。昨年は防御率2点台と復活の兆しを見せたものの、今年は21試合に登板して1ホールド、防御率4.57と寂しい数字に終わった。ストレートはまだ140キロ台後半のスピードをマークするが、以前に比べると勢いは落ちており、その影響で決め球のスライダーも威力が半減しているように見える。再び勝ちパターンに返り咲くには、違うパターンの投球を検討する必要がありそうだ。

 パ・リーグでまさに崖っぷちという位置にいるのが福田秀平(ロッテ)だ。ソフトバンクではユーティリティープレイヤーとして活躍し、2019年オフにFAでロッテに移籍。4年で4億8000万円プラス出来高(金額は推定)という大型契約だったものの、度重なる故障でここまでの3年間でわずか86試合の出場で52安打という成績に終わっている。移籍1年目に右肩に死球を受けた影響は大きく、先日クリーニング手術を受けたと発表された。来年が4年契約の最終年であり、チームでは高部瑛斗や山口航輝など若手の外野手が伸びてきているだけに、来年かなりのインパクトがある成績を残す必要がありそうだ。

 パ・リーグ連覇、26年ぶりの日本一を達成したオリックスではT-岡田が正念場を迎えている。2020年には16本塁打、2021年には17本塁打を放ち、復活を遂げたように見えたが、3年契約最終年となる今年は怪我や新型コロナウイルス感染の影響もあって低迷。わずか36試合の出場で1本塁打に終わっている。来年で35歳という年齢を考えると、2年連続での低迷は許されない状況だ。ただ、主砲の吉田正尚がもしメジャー移籍となればチームの得点力は大きくダウンする可能性が高いだけに、その長打力はまだまだ貴重である。来年はシーズン開幕から万全の状態で、再び豪快なアーチを見せてくれることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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