
ここまで被告人質問にも応じてこなかった足立被告。なぜ2人を殺害したのか動機が不明だった。
この点について検察側は、
「富夫さん死後に銀行から預金が引き出された」
などとし、金銭が動機である可能性が高いとした。
それらの点を踏まえ、
「計画性が高く、父親の事件を隠したいという身勝手な気持ちから口封じに弟を殺害した。2人を短期間で殺害しており、人命軽視が甚だしい」
と死刑を求刑した。
一方、弁護側は、富夫さんについてはガンも患っていたことから、
「低血糖になったことではなく病死の可能性がある」
などと反論。聖光さん殺害についても、練炭は第三者が足立被告の名義で注文した可能性があるなどと主張しており、検察の立証が不十分と指摘した。その上で、
「足立被告の犯行というのには疑問がある」
として無罪を主張した。
最後に裁判長から発言を許可された足立被告。 この日も、
「特にございません」
というばかりだった。
実の父と弟を殺害した罪に問われた被告が、何も語らないで結審するという異例の裁判。判決は11月29日に言い渡される。
(AERA dot.編集部・今西憲之)