一昔前の自動翻訳を使ったことのある人は、「自動翻訳は使えない」という印象を強く持ち続けている場合が多い。最新の自動翻訳を再度試して、ぜひ、印象をリセットしてほしい。
The Asahi Shimbun Asia & Japan Watch「Criticism rises in Japan on WHO’s
tobacco-related denial of vaccine 」 https://www.asahi.com/ajw/articles/14624081
一昔前の自動翻訳を使ったことのある人は、「自動翻訳は使えない」という印象を強く持ち続けている場合が多い。最新の自動翻訳を再度試して、ぜひ、印象をリセットしてほしい。 The Asahi Shimbun Asia & Japan Watch「Criticism rises in Japan on WHO’s tobacco-related denial of vaccine 」 https://www.asahi.com/ajw/articles/14624081

 さて、日本に来たらおすしを食べるという外国人も多い。東京・築地のすし屋では、「ワサビは食べられますか?」「ワサビは別のお皿に盛ったほうがよろしいでしょうか」などの入門的な会話から、ウナギとアナゴの違いを質問され「ウナギは淡水で育ち、アナゴは海水で育ちます」といった、より上級の会話まで大活躍だ。

 外国人の住民や旅行者が近年急激に増えたことで、さまざまな国の言葉に対応する必要に迫られているのが、全国の警察だ。2020年に多言語音声翻訳技術が警察庁のシステムに採用され、全国の都道府県警で広く利用されている。スマートフォンやタブレットで利用する警察専用のシステムで、端末は全国47都道府県警に合計5万台配備された。ほかにも、鉄道の駅員、郵便局員、地方公務員と利用する職種はどんどん広がっている。

 これらの状況は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって様変わりしている部分もあるが、自動翻訳は日常生活のさまざまな場面で利用されるようになっている。AIによって、自動翻訳は日本人の大多数に役立つところまで高精度化したからだ。

 普及の度合いを見てみよう。スマホやタブレットにダウンロードして使う製品も多数リリースされている。筆者が所属するNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)が開発した「VoiceTra(ボイストラ)」は実験用だが、2022年5月末時点で累計810万4520回ダウンロードされている。

AI翻訳で「働き方改革」

 前出のポケトークをはじめ30以上の自動翻訳の専用機が雨後の筍のように市場にデビューしている。デジタル産業の市場動向を調査しているMM総研によれば、2017年末に世界出荷台数26万台で始まった専用機の市場は、2019年末までの累計で230万台にのぼり、わずか2年で9倍に急拡大している。

 また、世界の多様な市場動向を調査しているMordor Intelligenceは、2020年から2025年までの間で、音声翻訳市場のCAGR(年平均成長率)は20・19%の急拡大になると予測している(これらは、コロナ禍で一時的にブレーキがかかっている)。

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