医学生であればほとんどの人が巻き込まれるであろう東医体と西医体。東日本と西日本の部活をする医学生が参加する年に一回の体育大会です。東医体や西医体になみなみならぬ情熱を燃やすのは医学生あるあるの一つです。ちなみに東医体は「とういたい」と音読みするのに対し、西医体は「にしいたい」と訓読みするのも特徴です。

 Dr.Eggsの主人公は、物語の中で医者になるモチベーションをあげていきます。物語はまだ基礎医学を学ぶ段階ですが、医学の奥深さと人体の神秘に心ときめかす場面が何度も出てきます。実際に、医学は学び始めると非常に面白いものです。特に、医者になりたいと思って医学部に入った学生にとっては、全てが将来に役立つ知識ですから当然です。しかし、医者になりたいと思わずに医学部に入ったものにとっては、医学部で学ぶ膨大な知識は苦痛でしかないでしょう。何度も留年を繰り返し、しまいには退学せざるを得ない医学生が一定数いることは残念です。もちろん本人の問題もあるでしょうが、ここには周りの大人の責任もあります。

 まず私たち医学部の教授や授業を行う教職員が、医学をまだ知らない学生に対して魅力的な授業をできていないことが多いのでしょう。医学部では膨大な知識を暗記する必要があるため、ついつい詰め込み方式の授業をしてしまいがちですが、ここを改善する必要があります。私が所属する近畿大学では、医学生が受け身にならないようにアクティブラーニングを積極的に取り入れた授業を行っています。

 もう一つの問題点は、Dr.Eggsの円くんのケースと同じく、勉強ができるというだけで医学部を高校生にすすめる大人がいるということです。アエラドットでの作者のインタビューでも書いてありますが、「医師免許を持っていれば将来は安定」という理由だけで、成績優秀者に医学部進学を促す高校教師や塾講師も問題です。せめて医療との関わりの中で、少しでも医者という職業に興味を持った学生さんに声をかけてほしいと思っています。

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