そうであれば、トランプ氏がそのまま大統領選に立候補して、再び大統領の座に就く可能性はどのくらいあるのか。
「大統領選は勢力が拮抗(きっこう)する状況が続いています。そのため、民主党の候補者が誰になろうと、トランプ氏が大統領になる確率は、五分五分だと見ています」(同前)
トランプ氏が立候補するとなれば、影響力がさらに増す可能性はある。今後、共和党に影響を及ぼすとなると、国際情勢にも大きな影響が出てきそうだ。
その大きな懸念の一つが、ロシアのウクライナ侵攻だ。共和党のマッカーシー下院院内総務は、このまま共和党が下院で過半数を獲得すれば、議長に就任すると見られている。マッカーシー氏は「米国民はウクライナに白紙の小切手を書くことはない」と発言している。共和党内ではウクライナへの多額の軍事支援に対する不満も出ており、それを代弁したと見られている。
また、トランプ氏は2月のラジオ番組で、ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の独立を承認したことに対し、「天才的だ」と発言。ロシア軍の派兵についても「最強の平和維持軍になる」と語った。その後、ロシアの侵攻を批判する発言もしているが、「現在はウクライナを支援しようという声が大勢だが、トランプ氏の発言で風向きが変わる可能性はある」(前嶋教授)。
日本への影響はどうか。トランプ氏は「米国第一主義」を掲げ、国際協調の枠組みから離脱した。2カ国間のディール(交渉)を好み、日本に対しても在日米軍の駐留費の増額や農産物市場の開放を要求してきた。また、「力による平和」を掲げ、軍事費を増額させ、中国や北朝鮮にも強硬に対峙(たいじ)してきた。
「予測不可能な行動をすることもあり、嫌な怖さがある」(同前)
あのトランプ氏が戻ってくるのか。
(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)