もし転ぶことなく本塁を狙っても、微妙なタイミングだったとはいえ、悔やまれるチョンボだった。
「いいバッティングができたのに、気合が入り過ぎてしまった。(走塁で)転んだのは人生で初めてです」と大いに反省した鈴木は、今季キャリアハイの58試合に出場して“ポスト秋山(翔吾)”をアピール。走攻守三拍子揃った“切り込み隊長候補”の来季に注目したい。
てっきりタッチアウトになったと思い込み、大の字に寝そべったのがアダとなり、今度は本当にアウトになってしまったのが、楽天・山崎剛だ。
9月15日のソフトバンク戦、楽天は1回、先頭の山崎が右中間三塁打を放ち、無死三塁と先制のチャンス。
次打者・鈴木大地はピッチャー返しの打球を放ったが、和田毅がフィールディング良く好捕し、外野へ抜けるのを阻止。山崎が三塁を飛び出しているのを見ると、すぐさま送球した。
慌てて頭からダイブするようにして必死の帰塁を試みた山崎だったが、送球を受けたサード・周東佑京にタッチされたかに見えた。
だが、野球は何があるかわからない。直後、周東はボールをファンブルして後ろにそらしてしまう。一部始終を見ていた森健次郎三塁塁審は一拍置いて「セーフ!」をコールした。
間一髪で命拾いと思われたが、なんと、山崎は自分がアウトになったと勘違いし、放心状態になって、ベースを離れた場所で仰向けに倒れ込んだまま。間もなくボールを拾い直した周東にタッチされ、なんとも悔やまれるアウトとなった。
鈴木が一塁に残った楽天は、浅村栄斗が四球を選び、1死一、二塁と再びチャンスを広げたが、島内宏明が一ゴロ、辰己涼介が空振り三振に倒れ、得点ならず。終わってみれば、3対7の敗戦で、自力V消滅となった。
試合の流れを変えた“大の字プレー”に、石井一久GM兼監督も「ジャッジが覆ったというところも含めてワンプレー。そこまではしっかりとプレーを切らさずに見てほしかった」と苦言を呈していた。
今季はシーズン終盤に19試合連続1番でスタメンに起用されるなど、自己最多の79試合に出場した山崎。来季はレギュラー獲りをかけた勝負の年になる。