ルーキーの北山亘基がシーズン当初からクローザーを任されていたところにも、ブルペン陣の苦しさがよく分かる。一方で先発は伊藤大海、上沢直之、加藤貴之の3人が規定投球回をクリアしており、ある程度計算ができる投手は揃っている。それを考えても、リリーフ陣の立て直しが大きなポイントとなりそうだ。

 そしてこのオフの動きだが、ドラフトでは新庄監督の強い意向もあって1年目から使える可能性のある選手を多く指名している。1位の矢沢宏太は二刀流で注目を集めているが、早く使えるのは外野手という声が多い。足と肩はプロでもトップレベルだけに、外野のバックアップ要員として期待できそうだ。

 投手では2位の金村尚真と6位の宮内春輝が即戦力候補。金村は抜群の制球力が持ち味で、試合を作る能力の高さは大学球界でも屈指の存在。宮内は変則フォームが特徴のサイドスローで、リリーフとして期待できる。そして3位の加藤豪将はメジャーでの実績はないものの、長年マイナーでプレーしており、年齢を考えても位置づけとしては新人というよりも外国人選手の補強に近いと言える。内野も外野も守れるユーティリティープレイヤーとして期待だ。

 トレードでは阪神から斎藤友貴哉と江越大賀の2人を獲得。特に期待が大きいのが斎藤だ。これまでの4年間の通算成績は45試合に登板して1勝2敗1ホールド、防御率5.01と目立たないが、オフのフェニックスリーグでは161キロもマークするなどストレートの勢いは大きな魅力である。課題のコントロールが改善されれば、セットアッパーとして面白い存在になりそうだ。またオリックスからFA宣言していた伏見寅威も獲得。捕手は宇佐見真吾が成長していたものの万全とは言えない状況だっただけに、こちらも大きなプラスとなることは間違いない。

 しかしオフには大きなマイナスもある。長年打線を牽引してきた近藤健介がFAで移籍する可能性が極めて高くなっているのだ(11月21日現在)。近藤は2019年から2年連続で最高出塁率のタイトルを獲得しており、今年も99試合の出場にとどまったものの.418と高い出塁率をキープしている。

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来季も相当厳しい戦いに?