季節や環境によってかかりやすい皮膚の病気は異なり、冬になると多くなる皮膚の病気があるといいます。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が、冬に多くなる皮膚病三つとその対策を紹介します。
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肌は外界と直接つながっているため周りの影響を受けやすく、季節や環境によって違った病気を発症します。夏場に多い水虫は冬になるとあまり見なくなり、変わりに他の皮膚疾患で病院を受診する患者さんが増えます。今回は冬に多くなる皮膚病三つとその対策を紹介したいと思います。
1.皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)
いわゆる乾燥による皮膚の湿疹です。皮膚科を受診する患者さんが増えるのは寒くなってからの12月や1月ですが、実際に皮膚がかゆくなり始めるのはもっと早い10月や11月くらいからです。外気の温度が下がると皮膚が乾燥するため、秋には肌はカサカサしはじめます。その後かゆみを伴うようになり、かきむしっているうちに湿疹になってしまいます。わき腹や足のスネなどにできやすいのが皮脂欠乏性湿疹です。
対策として大事なのは、湿疹になる前にしっかりと保湿を行うことです。保湿をすることでかゆみはある程度予防できます。もうすでにかゆくなってしまっている人は、肌がジュクジュクする前に皮膚科を受診し治療をしましょう。残念ながら、湿疹が悪化してしまうと、薬で治療した後もしばらく皮膚の色が黒くなります。これを炎症後の色素沈着と言います。夏の日焼けと同じようなものです。湿疹でくすんだ皮膚の色が元に戻るまでは数カ月かかりますので、皮脂欠乏性湿疹が悪化する前に治療することが重要です。
2.凍瘡(とうそう=しもやけ)
都心部では見かけることが少なくなったしもやけですが、地方では多くの患者さんが受診されます。手や足の指先が紫色になり、しばしば痛みを伴うのが特徴です。冷たい外気に触れることによって、指先の細い血管が収縮して血流障害を起こすことが原因です。予防策としては寒い場所で作業するのを控え、暖かくすることですが、暖房が使えないような状況では温かい飲み物を飲むだけでも末梢の皮膚温は上昇します。しもやけに対して、病院ではビタミンEの飲み薬や塗り薬を処方します。ビタミンEはサプリメントでも摂取可能なため、病院に行く時間がない人は試してもよいでしょう。