だが、法律で救われたのは佐川氏で、泣き寝入りしなければならないのは雅子さんだ。
「佐川氏が(決裁文書改ざんを)指示したのは間違いがありません。なぜ、佐川氏は夫にそんなことをさせたのか、直接聞きたい。夫は本当につらい思いで(改ざんを)やらされた。罪を犯している佐川氏が法律で守られるというのは理不尽なことです」
雅子さんは会見でそう語り、控訴する意向を示した。
雅子さんの弁護士は、
「国家公務員の個人の賠償責任は問われないというが、本件のような重大性、違法性があるものを、過去の判例と同じように見て、判決を出してもいいのか。これでは、将来的にも国家公務員の違法行為の抑止にもつながらない。裁判所は『もう国がお金を払うからいいでしょう』というようなことが言いたいのか」
と厳しく批判した。
今後、舞台は大阪高裁に移る。俊夫さんと雅子さんの無念が晴らされる日は訪れるのだろうか。

(AERA dot.編集部・今西憲之)