改修を終えた秋篠宮邸の第一応接室からの眺め/2022年11月22日
改修を終えた秋篠宮邸の第一応接室からの眺め/2022年11月22日

 しかし、秋篠宮さまにこんな話を聞いたことを思い出した。

 初対面の人が部屋に来た時に、部屋に珍品が置いてあれば、「これはなんでしょうか?」と尋ねられ、それをきっかけに話しが弾むことがあるのだという。

「自分はシャイで社交ベタ」

 そう自認する秋篠宮さまらしい工夫だと、江森さんは感じる。

■ジェンダーレスの考え

 江森さんは、秋篠宮さまとお会いするたびに、世間の印象と実像にギャップがあることに気づかされる。巷間では、学生時代にサングラスをかけて外国車を乗り回していた自由奔放な次男坊の印象が抜けきっていないように思われているかもしれないが、先の話のように実際は洞察力に富み、深く考え慎重に行動する人だ、と感じている。

 時代に合わせた皇室の在り方についてもそうだ。たとえば、秋篠宮さまは仕事の面で宮家職員を男女の性差で区別しない。秋篠宮家を支える皇嗣職の職員の数は50人ほど。侍従や女官といった名称を廃止した。

 江森さんが言う。

「もともと秋篠宮さまは、男だから女だからこの仕事と、決めつけることをしません。適性や能力に応じて仕事を割り振る柔軟さや合理性をお持ちです」

 秋篠宮さまは、こうしたジェンダーレスの考え方を以前から口にしていたと話す。

改修を終えた秋篠宮邸の和室/2022年11月22日
改修を終えた秋篠宮邸の和室/2022年11月22日

 悠仁さまが生まれた2006年の誕生日会見でのこと。「女性皇族の役割」について質問された秋篠宮さまは、こう答えている。

「私たちは、社会の要請を受けてそれが良いものであればその務めを果たしていく。そういうことだと思うんですね。これにつきましては、私は女性皇族、男性皇族という違いは全くないと思っております」

 江森さんは、秋篠宮さまがこう話したのを耳にしている。

「これからは、女性の皇嗣職大夫や女性の宮務官長も十分にありえます」

 価値観が多様化した社会へ令和の皇室がどう向き合うのか。そうした姿勢も問われる時代になったのだ。

■宮内庁が皇嗣家を支える重要さ

 秋篠宮さまは、合理的で時代に即した思考を持ち、新しい皇室を感じさせる発言を実際にしている。一方で、宮内庁が秋篠宮さまをフォローする姿勢が見えてこないという指摘もある。秋篠宮さまが新しい皇室の在り方を打ち出しても宙ぶらりんになってしまっている、という分析だ。

 いずれにせよ、発言が素直に国民に受け止められているとは言い難い。なぜだろう。

「秋篠宮さまは、兄の天皇陛下を支え、助けながら、少しずつ新しい皇室を築かれると思います。コロナ禍の影響で令和皇室は、動き出したばかりです。これからではないでしょうか。期待しています」(江森さん)

 前出の山下さんも、宮内庁が秋篠宮さまを支える体制がとれていない点は気にかかると話す。 

「令和も5年目に入ります。皇室と宮内庁の足並みがそろうことで、国民との信頼関係もより深まるのではないでしょうか」

(AERA dot.編集部・永井貴子)

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