今も覚えているのは、採用試験会場から見えたレインボーブリッジと、面接で「岡山を愛しているけれど、一度は外に出て自分の可能性を試してみたい」という気持ちを、自分なりの言葉で懸命に伝えたこと。何が起こっているのか実感も持てないまま次々と選考は進み、気付けば採用が決まっていた。

アナウンサーになった当初は、周りの人と岡山育ちの自分の違いにコンプレックスを感じたこともあります。でもあるとき、思ったんです。誰かのまねをしても私は幸せにはなれない、私は私でいいんだ、って」

 伸ばしていた髪を切り、心機一転で臨んだのが、入社3年目、お笑いコンビ・バナナマンの設楽統さんとコンビを組むMCに抜擢された「ノンストップ!」。明るく自然体のキャラクターが「個性的でいい」と評価され、自信もついた。

 心配性で生真面目な性格は、アナウンサーとしての実力を身につけた今も変わらない。「とくダネ!」で共演した先輩の伊藤利尋アナは、イベントや番組出演前に念入りに下準備をする山崎さんの様子を見て「山崎は心配性だなぁ。でもそれくらいの方が、アナウンサーは向いているよ」と声をかけてくれた。

「将来を見据えた勉強をしておけば、もっと今の仕事に役立つ知識が身につけられたはず」と振り返る山崎さん。

「でも、地元で地に足の着いた学生生活を送ったことは、いい選択だったと思っています」

 うらじゃ踊りも倉敷小町も、岡山にいたからできたこと。そういった活動こそが、結果的には採用面接でも役立った。

「地方の国公立大学を目指している人は、入学後、ぜひ地元の文化や人とつながりを持てる活動にも取り組んでみてください。そしていつかは東京に、と思っている人は、ぜひ就職活動でチャレンジを! チャンスはたくさんありますよ」

写真提供=フジテレビ
写真提供=フジテレビ

(文/木下昌子)

※「国公立大学 by AERA2023」から転載

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