その代わりに売られていたのはノンアルコールビール。これが30カタールリヤル。日本円にして約1100円! とりあえずそれを買って席についたが、やはり涼しい。というか寒い。味はともかく、冷たい飲料をそこまでして飲みたいという気分にはならなかった。周囲を見ると、私と同じように長袖をはおる人や、後方のエアコンを見て驚く人が何人もいた。

スタジアム内で売っているノンアルコールビール
スタジアム内で売っているノンアルコールビール

 数日後のスペイン戦は、試合開始が現地時間の午後10時。まず夕方になると気温はグッと下がり、ドーハ国際空港で確認すると23度くらい。かなり過ごしやすい気温になっていた。

 この試合の座席はスタジアム中段あたりだった。コスタリカ戦の経験から、「寒さ」対策で日本代表ユニホームの下に長袖を着て観戦に備えた。暑くも寒くもなく、ちょうどいいくらい。

 初めて観戦する日本人サポーターは、

「暑いと思ってきたら、めちゃくちゃ寒い。ここは本当にカタール?」

 と苦笑しながら上着を取り出していた。

 5年ほど前からカタール在住というパキスタン人で、日本代表を応援している長袖シャツのサポーターは、大きな日の丸の旗を背負ってこう話した。

「毎年クリスマスシーズンが最もすごしやすい季節です。スタジアムはさらに冷房をきかせているので、日の丸の旗をはおって、大きな声で応援して熱くなるのが自分にはちょうどいい」

 しかし、この日の日本代表は、前半にスペインに1点取られたが、後半に同点に追いつき、その直後に逆転したため、盛り上がりは最高潮に。熱気も加わり、途中からはとても暑かった。

■厳しいセキュリティーチェック

 もう一つ想定外だったのは、厳しいセキュリティーチェックだ。カタールへの入国には、観光であっても事前のビザ取得が原則必要だ。しかし、W杯とあってチケット購入者はスマートフォンにダウンロードできる「HAYYA CARD」(ハヤカード)が代わりとなった。バーコードに個人情報が埋め込まれており、スマホを紛失するなどした場合は、入国できないそうだ。ハヤカードがあれば、ドーハの地下鉄やスマホのSIMカードが無料という“太っ腹”な特典もあった。一方で、スタジアムに入るまで、何度も「ハヤを出せ」とチェックを受ける。そして、同じようにスマホにダウンロードしたチケットの提示を求められ、正直うんざりした。

厳しいセキュリティーチェック
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