今年6月9日から禁止薬物リストから大麻を外し、「解禁」したタイ。嗜好(しこう)品としては認めていないが、一般家庭でも栽培できるようになった。タイの街中を歩くと、コロナ禍前とは街の“景色”もかなり変わっていた。
6月9日以降、タイの首都・バンコクの繁華街では、大麻を売る店が続出しているようだ。8月、バンコクの街を歩いた。
日本人が多く住み、日本の大使館も近くにあるスクンビット通りの路地を入ると、日本食がたくさん売られているスーパーの前に、
「CANNABIS NATURAL PRODUCTS」
という大きな看板が掲げられていた。大麻(CANNABIS)専門店だという。
店に入ると、大麻特有の香りが充満し、20種類以上の大麻が瓶に入って並べられていた。
価格は1グラム450バーツ(約1750円)。
平均すると1グラムあたり600~700バーツだという。
「お客さんは非常に多い。大麻の解禁は大歓迎です。法律を守ってその範囲内でやれば、問題はありません」
と店主は話す。
大麻の使用は、医療・健康増進目的に限られ、向精神作用のある「テトラヒドロカンナビノール(THC)」の含有率が0.2%以下という基準を満たしていれば、販売や使用が認められている。娯楽目的、公共の場などでの吸引等は今も認められていない。
タイ政府としては、医療や健康増進といった目的を掲げ、一方で、大麻関連産業の育成、それによる経済浮揚につなげるのが狙いだ。
バンコク在住の日本人のトシさん(60代)はタイに住んで30年という。
大麻が解禁されると、さっそく栽培に乗り出した。自宅の庭にはまだ小さな大麻が植えられている。手にしていたのは、100バーツで買ったという大麻入りクッキーとチョコ、タバコだ。
「大麻はスマートフォンで簡単な届け出をするだけで栽培ができるし、繁華街なら少し歩けば、簡単に大麻関連の商品が手に入ります。コンビニエンスストアでも、大麻入りジュースが売られています。解禁されて一気に広がりましたね。タイ政府は、医療・健康用としていますが、嗜好品といってもおかしくないです」(トシさん)