カラオケ店と言っても高級感あふれる場所で、沢山の芸能人が来ていた。
そこで真夜中の3時くらいまでカラオケ大会。邦子さんも進んで歌う。キラキラしていた。めちゃくちゃ輝いてた。芸能界だったし、バブルだったし。
僕がこの芸能界に入って初めて仕事をさせていただいた「スター」だった。当時は「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」とか「MOGITATE!バナナ大使」とか「邦子と徹のあんたが主役」とか、ヒット番組連発。
そんな邦子さん。クリスマスの日にラジオの生放送があり、エレベーター前で待っていると、邦子さんがサンタの格好で入ってきた。マネージャーさんは全身タイツを着てトナカイの格好をしている。何かの収録終わりかと思いきや、なんと、有楽町の駅前から、その格好で歩いてきたのだという。すれ違う人にプレゼントを渡しながら。邦子サンタである。カメラは回ってない。プライベートである。
当然、邦子サンタの周りに人は群がり大変だったはずである。
だけど、プライベートでも「山田邦子」であったのだ。当時20歳の僕は驚いた。収録でもないのにプライベートで、サンタを演じて人に幸せを届ける。これがスターなんだと。
あれから30年たち、時代は変わった。
このM-1次第で、ヒロミさんのように、山田邦子さんの再びのブレークがあるのかもしれないと思うと、ちょっとそこもワクワクする。
■鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)、長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が好評発売中。漫画原作も多数で、ラブホラー漫画「お化けと風鈴」は、毎週金曜更新で自身のインスタグラムで公開、またLINE漫画でも連載中。「インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~」は各種主要電子書店で販売中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)が発売中。