――中国では習近平国家主席のエンタメ規制が厳しい印象があります。

 韓国コンテンツに関してはものすごく警戒している。だからこの6年、韓国の中国に対するエンタメ輸出は全然伸びていません。でも中国の場合、韓国人でなければK-POPのアーティストも出演できるんですよ。たとえば、BLACK PINKのリサは出演することができた。彼女はタイ人なんです。そう考えると、平手さんも出演できるのではないかと思います。

 HYBEが中国マーケットを狙うのに、日本を経由して中国市場を攻めるという戦略が考えられます。日本市場の10倍くらいのマーケットがあるわけですから、1度当たれば大きい。HYBEの次の一手は、平手さんを中国で起用していくという方向性もあるのではと思います。

――AKB48や坂道グループのプロデューサー秋元康さんの存在が大きいのでは、という報道もありました。

 秋元さんは、ホップステップジャンプで、最後のジャンプする場はご自由にどうぞというスタンスなんですね。だから『卒業』というシステムがあり、AKBにしても坂道グループにしても未成熟であるというコンセプトなんですよ。だから、平手さんのジャンプの場を作ってあげるというのは、夢があっていいのではないでしょうか。

(聞き手・構成 AERAdot.編集部上田耕司)

 まつたに・そういちろう/1974年生まれ、広島市出身。専門は文化社会学、社会情報学。映画、音楽、テレビ、ファッション、スポーツ、社会現象、ネットなど、文化やメディアについて執筆。著書に『ギャルと不思議ちゃん論:女の子たちの三十年戦争』(2012年)、『SMAPはなぜ解散したのか』(2017年)、共著に『ポスト<カワイイ>の文化社会学』(2017年)、『文化社会学の視座』(2008年)、『どこか<問題化>される若者たち』(2008年)など。現在、NHKラジオ第1『Nらじ』にレギュラー出演中。中央大学大学院文学研究科社会情報学専攻博士後期課程単位取得退学

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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