また、「○○コイン」は支払いに使えると推進派は言いますが、現代社会で支払い方法ほど飽和している分野はないと僕は思っています。
クレジットカード、QRコード決済、Suicaなどなど。それに……現金!
クリプトより早くて便利で、何千倍もの普及率を誇る支払いの選択肢はいくらでもあります。
個人同士の送金や海外への送金が簡単にできるのもクリプトの利点と言われていますが、それもほかの手段で簡単にできます。
クリプトだと為替手数料が低いのは魅力的ですが、その代わりに価格の変動が激しいから、本物の通貨に戻すときに損をするリスクが高い。
さらに、匿名性が利点だという人も多いです。たしかに、税務署や警察に知られずにお金を動かしたい裏組織や、脱税者にとっては、クリプトは便利なのかもしれません。
だけど真っ当に生きている人なら、多少の足跡が残ってもかまわないはず。
防犯や脱税防止の観点からいうと、政府はクリプトを規制したがるはずだし、国民も足跡のつく取引制度に賛成するはずです。
まあ、いろいろぼろくそに言ってきましたが、実は僕はクリプトの背景にあるブロックチェーンの技術が、この先すごく役に立つ可能性は認めています。
この先クリプトのおかげで、一般的な金融機関経由の電子決算、送金などがより安くて、楽になることも、そして為替手数料がなくなることも期待しています。そこはクリプトの影響を評価したいです。
しかし、今はクリプトが不足を満たしているわけでもないし、一部の人以外の役に立っていないので、投資するものとしてなかなか認定したくないのが、僕の本音です。
(構成/増田侑真)
パックン
本名:パトリック・ハーラン。芸人・東京工業大学非常勤講師。
1970年11月14日生まれ。アメリカ・コロラド州出身。93年ハーバード大学比較宗教学部卒業。同年来日。97年、吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。NHK「英語でしゃべらナイト」「爆笑オンエアバトル」をはじめ、多くのテレビ番組に出演し、注目を集める。「AbemaPrime」「報道1930」でコメンテーターを務めるなど、報道番組にも多数出演。2012年10月より池上彰氏の推薦で東京工業大学の非常勤講師に就任。コミュニケーションと国際関係についての講義も行っている。二児のパパ。
25年以上の投資歴があり、金融教育の講師として全国各地で講演会も行っている。
最新刊の『お金の育て方』では、「生活保護」状態から「お金持ち」になるまでに身につけた、誰にでもマネできる、お金との付き合い方を詰め込んだ。