ーー次へ向けての動きの中でスサノマジックに辿り着いた。
田中:神様の国なんでしょうね、「ご縁」がありました(笑)。タイミング良くスサノオマジックとお話する事ができ、社内で精査、シミュレーションを重ねて決定しました。
ーースポーツがエンタメなのは理解できます。しかしビジネスと考えれば「負け戦」をするわけには行きません。
田中:「島根で良いのか?」という意見も当然ありました。決め手は、チームを取り巻く熱量です。「市民の声を集めて形にしたチームを盛り上げたい」という声が刺さりました。松江市民、島根県民のひたすら熱い熱量に可能性を感じました。
●パワハラ問題、コロナ禍など、トラブル続出の船出
バンダイナムコが経営母体となってからは、チームをイチから再構築した。経営面の立て直し、チーム強化等、良いものを残しながら改革も断行した。2020年1月にはチーム内でのパワハラ問題が発覚、コンプライアンスに関する認識を徹底させることとなった。また新型コロナウイルスが慢延、エンタメ業界が大打撃を被ったのも同時期だった。
ーーバンダイナムコとしてはどこから手を付けたのですか?
田中:スポーツビジネス面に力を入れるのは当然です。しかしまず最初はガバナンス、会社をしっかり構築すること。会社組織として健全化することがスタートでした。
ーー田中さんがチームに関わったのは?
田中:会社組織としてある程度の地盤ができた状態となり、「エンタメ面をどうするか?」というフェーズに入りました。その時期の2021年にCEO就任しました。私はライブなどのイベント、グッズ、レジャーなどといったエンタメ関連事業を担当しており、学生時代は体育会系だったため声がかかったのかも知れません。
ーー田中さんのCEO就任前にはパワハラ問題、コロナ禍など逆風も強かった。
田中:パワハラ問題に関しては絶対に風化させてはいけません。処分を受けたことからわかるように弊社に悪い部分があった。バンダイナムコが参入したばかりだったので驚いた部分もありました。でも「膿を全部出しきって修正しよう」となりました。
ーー経営参画した直後で大変だったと思います。
田中:実際にクラブ内に入ってみないとわからないことは多い。時代の変化もあり変革すべき部分もあります。バスケットボール界に対する注目が高まれば、以前のままでは済まないことが出てくるのも当然。そこは毅然と対応する必要があります。「お客様を感動させたい」と思うなら、自らをしっかりするべきです。
ーー時期を同じくしてコロナ禍となった。試合すらできない状態もありました。
田中:コロナ禍は確かに大変でした。ですが活動停止期間があったことで、ガバナンスなどをしっかり作れる時間ができた部分もあります。コロナを肯定は絶対にしないですが、今から考えると決してマイナスではなかった時期です。