漫画家の細川貂々さん(本人提供)
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 コロナ禍でうつ病やうつ状態の人が増えたことにより、家族や恋人、友人という立場で支えている人も増えている。特に、子育てや仕事に追われる現役世代にとって、パートナーのメンタル不全による負担は重い。共倒れせずに見守るためには、何が必要なのか。人気コミックエッセー『ツレがうつになりまして。』シリーズの著者、細川貂々さんに支える側のコツを聞いた。

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――コロナ禍でうつ病やうつ状態の人が増えたことにより、家族や友人を支える側になった人も増えています。共倒れせずに見守るために、何が必要だと思いますか。

 支える家族に必要なのは、自分を一番大事に思うことですね。うつ病に関していうと、相手のためを思ってやったことも、本人はうっとうしく思うだけなので、全く無意味なんです。自分を大事にして、楽に生きられたら余裕が出てきて、それが相手にとって心地いいことにつながると思います。うつ病の人はすごく自分を追い詰めるので、自分のせいで周りが辛くなっているんじゃないかと感じると、それも追い詰める原因になってしまう。周りの人が穏やかでいる方がいいと思います。

 病院などで、家族は「見守って」とよく言われますが、それも余裕がないとできません。ただ、病気と向き合っている時に余裕を持つのはすごく大変なんですよね。経験していく中で、どうしたらいいか考えて、自分のやりやすい方法を見つけていけたらいいと思います。

 あとは、趣味や好きなことをやって、ちゃんと息抜きをする。私の場合、骨董市や宝塚歌劇を見に行くという趣味は徹底してやっていました。宝塚の専門チャンネルやDVDを1日に何度も見て気分転換したり、自分がしんどいなと思ったときにすぐに取り出せるお守り的な何かがあるといいですよね。

――子育て期とパートナーのうつ病が重なり、「子持ちツレうつ」状態の人も増えています。何かアドバイスはありますか。

 私の場合は、ツレのうつ病が良くなった後に子どもができたので、同時に経験したわけではありませんが、想像するだけでも大変だろうなと思います。周りの助けが要りますよね。子育てだけじゃなくて、自分を助けてくれる人が必要だと思います。私はうつ病という診断が出たその日に、両方の親と友達とご近所さんに話しました。自分1人では立ち向かえないと思ったので。ツレの了解? 無いです。これは私の問題ですから。

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