と、日本人男性の平均身長が高くなるのはいいニュース……的なことを反射的に書いてしまったが、これって本当にいいニュースなのだろうか。そもそも日本人の身長は、何センチくらいが順当なのか、森崎さんに聞いてみた。
「これは難しい質問です。一部の人類学者のなかには、『〇〇人だから背が低い、高い』というのは妄想で、人種によって身長は異ならないのではないかと言う人もいます。日本人にとって、遺伝子としてベストな身長は、今のところ『わからない』としか言えません」
にもかかわらずバブル時代は、高学歴、高収入に加えて高身長が「三高」と呼ばれる理想の結婚相手の男性の条件だった。が、こうした「高身長男性は七難隠す」伝説は、徐々にほころびも見えてきているようだ。
例えば日本語入力&きせかえ顔文字キーボードアプリ「Simeji」が11月1日に発表した「Z世代が選ぶ!!『憧れの有名人夫婦TOP10』」で、1位になったのは星野源&新垣結衣夫妻だった。で、それぞれ公表されている身長は、169センチと168センチでほぼ同じ。昔の少女漫画に出てくる胸キュンシーンのように、頭をよしよししてくれる彼氏との30センチ近い身長差は、「あってもいいけど、別になくてもいい」(20代女性)とツレない女性も少なくないようだ。
それどころか、こんな自営業の30代女性も。
「私の周りでは背が高い男性より、むしろジェンダーを感じさせない身長低めの男性のほうがモテますね。ここ数年、男女が着られるユニセックスの服も増えているじゃないですか。身長低めの男性は、そういう服を着こなせるのも武器じゃないかな」
では男性側の意識はどうか。小さいサイズのメンズ服を専門に扱う、2社にも聞いた。まず2009年に、小さいサイズ(XXS・XS・XSサイズ)専門のメンズファッションブランドとして誕生した「Retropics.(レトロピクス)」だ。顧客の平均体重、身長は、160センチ、50キロ。30~40代を中心に、50~60代の顧客も少なくないという。事業責任者の林周平さんはこう話す。
「創業当時、男性の大きいサイズ専門店はあっても、小さいサイズの専門店はなかった。低身長の男性から『ぴったりのサイズが見つからないため、買い物に行くのが苦痛』という声も多かったですね」