高学歴、高収入、高身長が「三高」などともてはやされたのは、はるか昔のバブル時代。令和に変わった今、給料は上がらず、学歴があっても職に就けない人はわんさかいる。一方、身長はどうかというと――実はここ25年以上、男性の平均身長は1ミリも伸びていないのだ。若者よりも高齢者の方が高身長、という逆転現象も起きている。若者たちはさぞ悲観しているかと思いきや、意外とそうでもないようで……。
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親戚の子、近所の子、友だちの子……「最近の子はどんどんデカくなっちゃって~~」などと驚くようになって久しいが、実はこれ、けっこうな思い込みだったらしい。
11月30日に文部科学省が発表した「令和3年度学校保険統計」によると、17歳男性の平均身長は170.8センチ。その推移を見て見ると、1948年、160.6センチだった17歳男性の身長は、1994年には10センチ増の170.9センチに。戦中戦後の食糧難をへて、欧米並みの食生活などで体格がよくなったから、というのが定説だった。
94年といえば、まだバブルの残り香があった時期。経済成長とともに背の高い人も目立つようになり、米国のエンパイア・ステート・ビルだって買っちゃった日本人だもの。この調子でいけば、米国の成人男性並みの平均身長178センチなんてすぐ……と誰もが思ったものだ。
でも実際はその後、25年以上横ばいが続き、今回も0.1センチだが減っている。自分が思い込んでいたように、「どんどんデカく」は、全然なっていなかったのだ。
そう言われて、思い出したことがある。コロナ前に、東京下町のとある町内会で開催された祭りでのこと。高身長ゆえ肩の位置が高く、おみこしの重みを一手に引き受けている2人の担ぎ手がいた。ひとりは70代の洋食店店主、もうひとりは60代の自営業者だ。どちらも身長180センチ。ほかに30人ほどいた10~70代の担ぎ手のうち、この白髪コンビを越える身長の人はひとりもいなかった。