2人を知る40代の男性(身長169センチ)は話す。
「頭の中は、何かと古いしきたりを押しつけてくるザ・昭和のおじさん。10センチ以上も高い上空から見下ろされて意見されるのは、ちょっと複雑な気分です(笑)」
この先は、高齢者ほど背が高くなる逆転現象が進む可能性もある。「17歳の平均身長は、もっと低くなっていくだろう」という、かなり鉄板の予測があるからだ。
「身長の大部分、8割程度は両親の身長で決まります。とはいえ小さく生まれたり、幼少期の栄養不足や病気、ストレスなどがあると、両親から受け継いだもので予定されている身長と比べて、身長が小さくなることが分かっています」
そう教えてくれたのは、国立成育医療研究センター・社会医学研究部の森崎菜穂部長だ。両親から受け継いだもので予定されている身長を「予測身長」と言うが、17歳の身長が低くなっている背景には、「この予測身長よりも小さくなる、幼少期の影響が増えているからと考えられます」(同)。
大きな要因のひとつは、生まれる時の体格、つまり「出生体重が小さくなっていること」だと考えられている。実際に、日本では2500g以下で生まれる低出生体重児の出現率は、1970年代後半に5.1%だったものが、37年後の2007年には9.7%となり、現在も高止まり状態が続いているという。
「出産日を決めて産むことが増え、お産が早くなったこと、やせている妊婦さんが増えたこと、また妊娠中の体重増加を抑制する文化があったことなど、低出生体重児が増えたのには、さまざまな複合的理由があったと思われます」(同)

上のグラフが示すように、1980年生まれは低出生体重児がもっとも少なく、同時に成人後の平均身長がピークになっている。その後低出生体重児は増加傾向なので、その子どもたちが成人になる頃に、成人の平均身長は170センチを切ることも予想されている。
一方、朗報もある。2021年に産婦人科学会の方針が変わり、推奨する妊娠中の体重増加の抑制が、以前より緩やかになったのだ。今後は状態が改善し、平均身長のV字復活することも期待できそうだ。