今年も「ガキ使」ロスがSNS上にあふれた。
大みそかの12月31日に日本テレビで、「笑って年越し!世代対決 昭和芸人VS平成・令和芸人」が7時間半にわたって生放送された。東野幸治、ナインティナインがMCを務め、昭和チームキャプテンは出川哲朗、フットボールアワーの後藤輝基、平成・令和チームキャプテンはかまいたちが務めた。世代間のプライドをかけたネタバトルや人気番組の名物企画とコラボした対決などで芸人たちが身体を張ったが、現実は厳しい。紅白の裏番組で民放番組トップの視聴率は、テレビ朝日系「ザワつく!大晦日一茂良純ちさ子の会」で11.2%だった。
テレビ局関係者は、こう振り返る。
「人気芸人をたくさん集めましたが、内容はいつもの年末の特番と変わらない内容で、サプライズがなく既視感があった。『ガキ使』が大みそかの風物詩として定着していたので、このハードルを上回るのは厳しい部分もありましたね。SNS上ではガキ使を復活する声が多く寄せられていましたが…」
大みそかに放送される民放番組の視聴率で、ダウンタウンの「ガキの使いやあらへんで!」の「絶対に笑ってはいけない」シリーズは2020年まで11年連続トップだったが、21、22年と2年連続で放送されなかった。絶大な人気を誇っていた一方で、年を重ねる度に「企画がマンネリ化している」、「出演者が多すぎる。昔の内輪でやっていた時の方が面白かった」という書き込みがネット上で見られるようになった。また、「人を傷つけない笑い」が称賛される時代の流れも逆風となった。出演者のダウンタウン、ココリコ、月亭方正が笑った時の罰として、全身黒タイツの男たちが棒で「ケツバット」されるお仕置きが、「子供に悪影響を与える」と問題視されるように。放送倫理・番組向上機構(BPO)が21年8月に、「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について審議対象とすることを発表している。「ガキ使」がこの際に具体的な番組として問題視されたわけではない。だが、テレビ制作スタッフは、複雑な表情を浮かべる。