平成の天皇と皇后が高齢になっても多忙な公務を抱えていた背景には、皇室の高齢化と皇族の減少がある。
22年1月、岸田内閣は、皇位継承のあり方を議論した政府の有識者会議の報告書を衆参両院議長に提出した。首相は、皇族の数の減少が緊急の課題だと説明。「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持」「旧宮家の男系男子の養子による皇族復帰」の2案の検討を求めた。
それを受けて1月下旬に自民党は、「皇室問題等についての懇談会」の初会合を開催。しかし、「静かな環境で議論を進めていくことが望ましい」との認識からいまだ具体的な動きは聞こえてこない。
小田部さんは、いま皇室の将来について言及できるのは、皇室の深刻な高齢化と人数の減少だけ、と慎重な物言いをしつつも、こう警鐘を鳴らす。
「10年後を想像してみると、天皇陛下と皇后雅子さまは10年後に72歳と69歳です。先にも説明したように、平成の両陛下は60代、70代でも熱心に公務を務めました。しかし、問題は天皇家を支える宮家を含む全体の高齢化をなすすべもなく見守るしかないという点です」
上皇さまの弟の常陸宮さまは、現在87歳、妃の華子さまは82歳。昭和天皇の弟の故・三笠宮崇仁さまの妃である百合子さまは99歳だ。
天皇ご一家をのぞく宮家において膨大な量の公務を主に担っているのは、皇嗣家である秋篠宮さま(57)と紀子さま(56)、そして高円宮妃の久子さま(69)だ。10年後、秋篠宮ご夫妻は67歳と66歳である。久子さまは、79歳になっている。
久子さまは3人のお子さまを育て、夫の高円宮憲仁さまが02年に47歳で急逝して以降は、宮家の女主人として切り盛りしてきた。
久子さまと親交のある人物は、こう話す。
「秩父宮家、高松宮家の妃殿下方に学び、御所言葉など皇室に伝わる伝統や作法を学んできたのが久子妃殿下です。次女の典子さんと三女の絢子さんは結婚して皇室から離れ、いらっしゃるのは長女の承子さまのみです。久子さまが学び守ってこられた皇室の文化を受け継ぐ先があればよいのですが」