そして「ゼロコロナ」政策の大幅緩和が発表されてから2週間が経過したクリスマスのころだったと思います。定期的に連絡を取り合っていた彼女と急に連絡が取れなくなってしまったのです。ゼロコロナ政策が大幅に緩和されたことで感染が急拡大しているという報道を連日のように目にしていたこともあり、「もしかして……」と思っていたら、その不安は見事的中。「同居している父がコロナに感染し、40度を超える熱が出て、救急車で搬送されました。その後、母と自分も39度を超える熱が出ました。私は数日で熱が下がって回復傾向にあるけれど、父と母は二人とも肺炎になってしまった。両親は入院できないので毎日病院に通っています」と数日後の夜中に急に連絡がきたのでした。
その連絡から数日後には「彼女も彼女の両親も幸い回復傾向にある」と追加の報告があったため、安堵していた矢先のことでした。「祖父がコロナに感染し、亡くなってしまった」とひと言、連絡がありました。短期間で彼女を襲った一連の出来事に心を傷めずにはいられませんでした。
ちょうど同じころ、中国に帰国中の別の友人からは「とにかく風邪薬が欲しい、全く手に入らない……」と言うメッセージが届きました。彼の知り合いがコロナに感染し、病院に行くも診てもらえないし、薬も処方してもらえない状況だったようです。「多くの人が困っている」と混乱している様子が伝わってきました。
私自身、昨年の10月末にコロナに罹患しました。体調が完全に回復したと感じるまでには、発症から1カ月もかかりました。先述した彼女もまだコロナの感染から完全に復帰しておらず、咳だけがしつこく残っているといいます。そんな中で「両親の通院のサポートや葬儀の準備に加えて、リモートでの仕事も休めない状況はとても大変」という彼女をとても気の毒に感じていましたが、遠くにいる私は何も助けることができず医学的なアドバイスをするのみでした。