「どちらが良い、という話ではありません。より家庭で話題にのぼるような事象や言葉、そして人びとに敬語表現を用いる。それも令和流といえます」(河西さん)
さらに令和の皇室の人間味を感じさせたのは、21年と22年に発表された天皇、皇后両陛下による「新年ビデオメッセージ」だ。
コロナ禍で一般参賀が中止となったため、動画による両陛下のメッセージを元日に公表したものだ。両陛下の声と表情を感じることのできる動画は「ぜひ続けてほしかった」と河西さんは話す。
一般的に皇后が記者会見に臨む場面は少なく、海外訪問など限られた場面だ。ビデオメッセージでは、普段は耳にする機会の少ない皇后雅子さまの声も収められている。
「とくにほほえましいのは、令和3年のビデオです。雅子さまは、緊張した表情でメッセージを読み上げていらっしゃる。よく見ると隣の陛下が、同時に口を小さく開いて何かを話しているのです。おそらく、雅子さまの原稿部分を一緒に読みあげているのでしょう。妻である皇后を『頑張れ』と励ましているかのようでした。支え合うご夫妻の温かな雰囲気が伝わるようで、好感が持てました」
皇室も国民も「完璧」でなくともいい――。そんなメッセージにも感じる。
一方で、専門家のなかでも「残念であった」との声が多いのが、3年ぶりに復活した一般参賀だ。今年は、新年も2月の天皇誕生日も事前申し込みによる抽選制度となった。
今年は、新年の一般参賀に愛子さまが初めて出席。水色のドレスに身をつつみ笑顔でお手振りをする姿は、見ている人の気持ちを明るくする。世間は、新年の祝賀ムードにわいた。
一方で、午前10時から6回分で入場が許可されたのは9千人余り。応募者は、10万2千人を超え、11倍の高倍率であった。
当時、実際に参加したのは7312人。5回で約6万8700人が集まった前回(20年)と比べると約6万1千人も減った。