新春恒例の「歌会始の儀」が18日、皇居・宮殿「松の間」で開かれた。お題は「友」で、天皇、皇后両陛下や秋篠宮さま、紀子さま、佳子さまなどの皇族、一般の入選者の歌が伝統的な節回しで披講された。皇后・雅子さまは、皇室に入ってからの半生を振り返り、友への感謝をあらわされた。
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一般応募の1万5005首から選ばれた入選者も招かれた「松の間」。ある歌人が「今年のお題は友で、とてもわかりやすい和歌が多いですよ」というように、親しみやすいものが多かった。
披講のトップバッターは、最年少の山梨県北杜市の市立甲陵中2年小宮山碧生さん(14)だった。詰襟の学生服で緊張の面持ちの小宮山さんがスクッと立ち上がると、雅子さまは真っすぐ優しい眼差しを向けられていた。
【友の呼ぶ 僕のあだ名はわるくない ほかのやつには呼ばせないけど】
中学2年生らしさがあふれるこの歌が、「講師」(こうじ・全句を節をつけずに読む役)が読んだあと,続けて「発声」(はっせい・第1句から節をつけて歌う役)が独特な節で歌うと、厳かな雰囲気のなかでもとても微笑ましい空気に包まれた。そんな様子に、雅子さまはまるでわが子を見つめるような優しく柔らかな笑顔をされていた。
そんな雅子さまは、皇室に入られてからの半生を振り返り、友への思いを歌われた。
披講される前に天皇陛下に雅子さまがお辞儀をされると、天皇陛下は雅子さまのほうへ首をかしげるように、優しくそして小さく2度うなずかれた。
【皇室に 君と歩みし 半生を 見守りくれし 親しき友ら】
この雅子さまの歌を聞くと思い出されるのが、昨年12月9日の59歳のお誕生日に寄せられた雅子さまのお言葉。
「50代最後の誕生日を迎えるに当たり振り返ってみますと、私が、当時の皇太子殿下との結婚により皇室に入りましたのが平成5年6月9日、ちょうど29歳半の時でした。本日の誕生日で、その時からちょうど29年半になります。いつの間にか人生のちょうど半分ほどを皇室で過ごしてきたことに、感慨を覚えております」