結果的に、後藤田氏は小選挙区で無所属候補に敗れ、比例区で復活当選となった。

 そして、後藤田氏といえば、妻が女優の水野真紀さんであることが知られており、地元での知名度は抜群だ。

 ただ、後藤田氏には女性スキャンダルの印象もついてまわる。過去に週刊誌に2度、大きく報じられた。

 後藤田氏の後援会幹部がこう不安を口にする。

「前回の衆院選後、後藤田氏の後援会長が辞任しました。言うことがころころと変わる後藤田氏に愛想をつかしたようです。今は三木氏の支援にまわっているともっぱらです。後藤田氏は、知事選に出馬といってもそれまでに選挙態勢が作れるのか心配です」

 今回出馬する三木(亨)氏は、父が元知事の三木申三氏(故人)だ。後藤田氏も三木氏も、政治家の系譜として、譲れない闘いなのだ。

 そしてこの2人、別の側面からも競合関係にある。

 前出の自民党幹部がこう話す。

「後藤田氏は(辞職前までは)茂木派で、茂木敏充幹事長自身が『自重を』と促していたが聞く耳を持たなかった。後藤田氏の知事選出馬は、茂木氏の派閥トップとしての、幹事長としての手腕も問われかねない。三木氏は(辞職前までは)二階派所属で、二階俊博元幹事長の了承を得て参院選に出馬した。1月に入ってから、議員辞職のタイミングも二階氏の意向があったようだ。こういうけんかに二階氏はめっぽう強い」

茂木敏充幹事長
茂木敏充幹事長
二階俊博元幹事長
二階俊博元幹事長

 地方で繰り広げられる派閥の争い。「新」「令和版」の阿波戦争などと言われるゆえんだ。

 その三木氏は、出馬会見で、

「いまの徳島は活気が失われている。県民の力を引き出せていない。この状況を目の当たりにして、県民のための政治を、徳島で生まれ育ったものとしてなんとか立て直したい」

 と前回選挙で自民党が推薦した現職の飯泉県政の「継承」はしない方向性を語った。

 その上で三木氏は、自民党の徳島県連に「推薦願」を出している。

 しかし、党県連としては三木氏を支援したくない事情がある。

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前回知事選では味方同士だった2人