今回の市長選では、「署名問題」以外にも“事件”が起きた。
当初、津森氏の応援のため、菅前首相が北九州市に入る予定だったが、これが急きょ中止になった。
二階派の国会議員がこう話す。
「麻生氏と武田氏の対立があまりに激しいため、菅前首相は断念した。本当は二階会長も行くような話があったけど立ち消えになった。他の大物も巻き込まれたくないと、北九州市入りを見合わせている」
福岡政界の自民党はこれまで、麻生氏のほか古賀誠元幹事長や山崎拓元副総裁らが火花を散らしてきたが、古賀氏が引退し、山崎氏も失脚すると、麻生氏が重鎮として県内をおさえてきた。
しかし、武田氏が閣僚ポストを得るなどし、勢力図も変わってきている。
その象徴ともいえるのが福岡県選出の参院議員、大家敏志財務副大臣の存在だ。
麻生派の大家氏だが、今回の北九州市長選では津森氏陣営の選対本部長を務めている。
昨年12月初め、こんなことがあった。
大家氏は北九州市長選にあわせるように、「大家敏志 政経フォーラム2022」を北九州市内のホテルで開いた。自身のホームページなどでも広報し、講師として麻生氏を呼んでいることも大きな写真入りで紹介している。
しかし、麻生氏はそれをドタキャンした。麻生氏は大家氏を呼んで、市長選の対応について「説教」をしたと地元では伝えられている。
「麻生会長とすれば、大家氏は自分がずっと面倒を見てきたという自負がある。まさに親分ですよ。麻生会長が武内氏を支援することは前からわかっていた。津森氏の推薦が決まると、麻生会長に近い市議らは自民党を離れて武内氏支援に。それなのに、大家氏は武田氏と歩調を合わせて先頭に立って津森氏の応援でしょう。連日、津森氏がSNSに投稿する動画には大家氏が映っている。そりゃ、カンカンですよ、親分にたてついているのですからね」(麻生派の国会議員)
大家氏については、こんな“失策”もあった。 1月29日に北九州市立総合体育館で「Fリーグ」(フットサルリーグ)の試合が開催された。