今思うと、ありきたりな言葉になってしまいますけど、メチャクチャ恵まれていたと思います。芸能界のお仕事ということにおいても、吉本興業という環境においても。
講演会のお仕事もコンスタントにあって、たまにはテレビにも出してもらって、芸人をやりながら「イリエコネクション」という会社をやることも認めてもらって、適度にお休みもいただいて。どう考えても、幸せだったなと。
それでも当時は「ギャラが安い」とか文句も言ってたんですけどね。今から思うと「何を言ってるんだ」という話なんですけど、だからこそ、勘違いしてたんだと思いますし、油断していたところも多分にあったと思います。
そのあたりの僕のダメなところを今も指摘してくれているのが相方の矢部です。矢部とは今も連絡を取っていて、年2回、桜が咲く頃と年末にごはんを食べるようにしています。
僕が今も「カラテカ」を名乗っていられるのは相方のおかげです。もちろん僕は何かを言える立場でもないんですけど、クビになった時に矢部がSNSに文章をアップしてくれたんです。
相方が迷惑をかけてすみません。僕が反省すべきです。ただ、僕はこれからも「カラテカ」の矢部として活動していきます。そんな内容でした。それを見て、僕は泣くことしかできませんでした。
今もですし、クビになって僕が自暴自棄になっていた時も、矢部が一番厳しく言ってくれました。「そんな風にしても、時間は取り戻せない」「新しいことをして結果を出さないと、進んだことにならない」。冷静に、正論を言ってくれました。
僕があくまでも「ピカピカ」の宣伝でYouTubeをやろうかと思った時も、矢部が言ってくれました。「(入江の)性格的にはそれをやると『ピカピカ』の仕事がおろそかになってしまう。絶対に。そんなことでは今頼んでもらっているお客さんに失礼だし、今は『ピカピカ』だけに専念すべきだ」と。
これってなんなんでしょうね。もともと高校時代の友だちなんですけど、芸人時代は友だちという感覚もなくなっていました。でも今はまた友だちに戻ってるんです。だから、清掃の仕事で使う車のラッピングデザインを矢部にしてもらったり、そういうことも頼める関係性になっています。そして、矢部もまたそれをタダで引き受けてくれて。いろいろ頭が上がらないし、普通の友だちの感覚もあるし。感謝しつつも、なんか不思議な感じだなと。