■成長ホルモンの分泌が盛ん
全身の細胞の代謝を活性化させ、組織を増大させる成長ホルモンの分泌が盛ん。身長の伸びにも成長ホルモンが大きくかかわっています。成長ホルモンは深い眠りの時に多く分泌されるので、「寝る子は育つ」は本当の話です。分泌のピークは思春期の後半(女子12歳、男子15歳頃)で、成長期を過ぎると減少していきます。
■子どもは体温調節が苦手
体温は皮膚の毛細血管を収縮・拡張させたり、汗をかいたりすることで一定に保たれていますが、子どもはこの体温調節機能が未熟です。しかも体重当たりの表面積が大きいため、周りの環境に影響されやすく、室温が高かったり服をたくさん着ていたりするだけで体温が上昇してしまうことがあります。
■子どもは心も発達途上
考える力(思考能力)や記憶、言語、情緒、社会性など、精神的な部分も体の成長と共に形成されていきます。ただし、発達の仕方は個人差が大きく、生育環境にも左右されます。また、一般に子どもは大人と比べ心の悩みが体と直結しやすく、ストレスが体調不良として現れやすい傾向があります。
■子どもは心拍数(脈拍)が多い
子どもの心臓は大人よりも小さく、1回の収縮で送り出せる血液量が少ないため、心拍を速くして送り出す血液量を増やしています。成人男性の心拍数は毎分65~70回、成人女性は70~80回なのに対し、幼児の心拍数は110回前後と、標準的な大人の約1.5倍です。6歳くらいになると90回程度になります。
■子どもの骨はしなやか
大人の骨は硬くて丈夫ですが、強い衝撃が加わるとポキッと折れやすい面が。一方、子どもの骨は軟らかくしなやかにできているため、若木の小枝のように折れにくく、たとえ骨折しても副木を当てておくだけで治癒するケースがほとんどです。大人のように硬い骨になるのは思春期を過ぎてからです。
■子どもは脱水症状を起こしやすい
子どもは体に占める水分の割合が高く新陳代謝も活発で、大人よりも多くの水分が必要にもかかわらず、腎臓の尿を濃縮する機能が未熟なため、体内の水分や塩分をどんどん排泄してしまい、脱水症状を起こしやすい特徴があります。年齢によりますが、体重の4%程度の水分が失われると脱水症状に陥り、汗がかけなくなり、体温も上昇していきます。
■人体に占める水分量の割合
生まれたばかりの赤ちゃんは体の約75%、幼児でも約70%は水分でできており、皮膚からの蒸発や呼吸で失われる水分も多く代謝も活発であることから、大人より多くの水分を必要とします。発熱や下痢、嘔吐などがきっかけで脱水症状になることもあるので注意が必要です。
子どもがかかりやすい病気や症状の出方、その注意点を後半で紹介します。
【後編はこちら】≫子どもは急に病気になる 気づいてあげたい「不調のサイン」と「急変時の対処法」を医師が紹介
監修/入谷栄一(いりたに・えいいち)先生