――芸風として押し出す以前から、そもそも性格的にキレやすかったんですか?
氏原 お恥ずかしいのですが、その通りです……。最初は相方にキレてましたね。サカモトって言うんですけど、ネタをまったく覚えてこない。そのことにキレると「ごめん」って謝ってくるんですけど、それが食い気味なのでまたムカついて。10年間ずっとキレ続けていたんです。
――それが蓄積されて、キレる素養ができあがっていったと。キレを芸風にするにあたっては、何かルールやコンセプトは決めましたか?
氏原 とにかく大きい声で、顔を赤く、目力を強くっていうのを一番意識しました。細かいルールは、その場に合わせて決めています。
――その範囲であれば当然、すごい先輩や大物に対してもためらいなくキレられる?
氏原 いや、キレません! 一応、自分のスタンスとして、人に対してキレていいとは思ってないですから。たまにコントロールを失うこともありますが……。
――いわゆるツッコミとは違うので、必ずしもキレを挟んで相手とのやりとりが進んでいくわけではないということなんですね。
氏原 「キレ」をそんなに真面目に考えたことはないですよ(笑)。その場によって、ツッコミの時もありますし、純粋に怒りの時もありますし。
――今、キレてもよかったんですよ。
氏原 いやいやいや(笑)。そういうのがあるから嫌なんですよ。「今、求められてるな」でキレるのメチャクチャ恥ずかしいんですから。
――これまでの会心のキレは?
氏原 これはボケでも何でもなくて、「何でだよ!」ですかね。日常で出たやつです。月収3000円でまったく食えなくて、相方のサカモトは「お金がないから辞めたい」ってずっと言ってたんです。だから「俺が頑張って稼ぐから、もうちょっと待ってくれ」って言ってたら、スパチャも入るようになって状況が好転しました。そうしたらサカモトが「氏原だけバズってるのが気に食わない」って。そこで会心の「何でだよ!」が出ました。ちょっと泣いちゃいました。